ep2-10
「ふん!ならばまず、その平民の騎士として私に対しての無礼を貴様が代わりに謝罪しろ。騎士なのだから、それくらい当然だろう」
男の無茶苦茶な物言いにリィルは呆れ返る。自分が言っていたことは全て棚に上げて、人に謝罪を求めるなどあり得ない。
しかし、シリウスは跪くように膝を折るとゆっくりと頭を垂れて頭を下げた。
その姿にリィルが声を上げる。
「ちょっ、何してんだ!シリウスさん!」
「私は君の騎士だ。君の為に、これくらいどうということはない」
「なんで……そこまで」
リィルは意味がわからず困惑する。そんなリィルにシリウスは少し振り返り、フッと笑みを浮かべた。それは、穏やかな笑み。
「騎士とは主人の剣となり盾となり、守るものだからね」
「っ!」
リィルの胸がドキンと鳴る。その笑顔に、言葉に……心が揺さぶられる。
「一度目は君を傷つけた。今度は、守らせてほしい」
そう言ってシリウスは再び男に向き直った。そして跪いたまま男に告げる。
「我が主人が大変失礼を致しました。この度はご容赦ください」
「ふん!最初からそうしていればいいのだ!全くこれだから……」
「ざけんな、くそったれ」
そんな男の暴言を遮るようにリィルが静かに呟く。抱きしめていた子どもから手を離し、跪くシリウスの前に出て男を鋭い目で睨みつけた。
「い、今この私に言ったのか?」
「あーそうだよ。くそったれが。何度でも言ってやる。いいか?ここにいる騎士はこの国一番の優秀な騎士だ。この人を悪く言うってことは、この国に対しての反逆だ!」
「そ、そんな……私はそこまで」
「この人は貴族だろうが、平民だろうが関係なく民を守ると誓ってくれた人だ。だからおまえは、この国の民全てを敵に回したことになる!」
リィルの言葉に男は動揺する。トドメとばかりにリィルは声を上げた。
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