ムシクヒ様と『ツギハギサマ』
異界ラマ教
第1話 おじいちゃん
まだ僕が鼻たれ小僧だった頃、夏休みになるたびにおじいちゃんの家に行ってた。
車で長い時間、とは言っても僕はほとんど寝てるだけだったけど。
とにかく早朝に出ても夕方にならないと着かないくらい遠かったのは覚えてる。
でも退屈なドライブを苦にもしなかったのはおじいちゃんが大好きだったからだ。
年齢を感じさせない逞しい身体をいつも真っ黒に焦がしていたおじいちゃんは遊びに行くたびに僕の知らないことをたくさん教えてくれた。
『おめぇ、いいか。感謝するのを忘れちゃならねぇ』
粗暴だが、確かに優しさを感じる言葉をいつも僕にくれた。
『おめぇ、いいか。わりぃことしたら素直に謝れ』
僕が中学校に上がる頃、両親が離婚したせいでおじいちゃんの家に行くことはなくなったけど。
『おめぇ、いいか』
最後におじいちゃんの家に行った日の夜、離婚することを聞いてたのかどうかは分からないけど、おじいちゃんは僕にこう言った。
『二度とここには来るな』
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