JKになりたかった俺、異世界行くが願い叶わずロリになる。

coll

第1話 転生したらロリだった件

突然だが、皆は異世界転生って知ってるか?

いや、昨今話題になりまくってるから、流石にアニオタとかラノベ読んでる人たちなら分かるか...。

まぁ、かく言う俺も異世界転生は大好きだし、何作品も読んだ...あーいう異世界に転生して、主人公がチート能力で、強敵をバッタバッタと余裕で倒して、そしてハーレムで美少女達にモテモテ...最高だよなァ!!

あっ...んんっ...なら...異世界転生を体験したことはあるか?...いやあるわけないか...あんなのファンタジーだし、まずフィクションだ。あって欲しいという願いから生まれた偶像だからな...。

ん?なんで突然異世界転生の話をって?いやぁ実は...俺...異世界転生しちゃったんだよね。しかもロリでね...


事の発端は1時間前にまで遡る。


「花楽〜!もう朝食出来てるわよ〜!!」


「分かってるー!」


「はぁ...今日も今日とて、なんも無い平凡で平和な一日が始まるのか...」


ようお前ら、俺の名前は藍園あいその花楽から、アニメが大好きなちょっと人見知りなただの高校生だ。まぁ世間一般的に言うならオタク、と言うやつなのだろうか...まぁ俺はオタク程アニメに詳しい訳では無いがな。

ん?なんだって?名前がただの高校生じゃない?まぁたしかに、俺の名前は男にしては妙に可愛らしい。なんなら女だとしても可愛い名前に入るだろう。いやそーんなことはどうでもよいのだ。


「おはよう、ママ」


「おはよう」


と、にこにこで返事をしてくれたこの人が俺のマミーだ。ちなみに母子家庭だ。

そういえば思ったけど、母子家庭ってそこまで気まずい訳でもないのに、相手が気を使ってくる事あるよね。あれこっちも気まずいからやめて欲しいとたまーに思うんだよね。って思ったけど俺友達いねえや。自分で言ってて悲しいよ...


「4日前からひき逃げ事件が多いですね...」


「そうですね───」


なんてニュースが朝っぱらから物騒な事件を取り扱っている。


「怖いわね...」


「同じ犯人なのかな」


そんなことを話しながら、急いで朝食を食べる。


「さぁ...でも4日前の犯人捕まってないから可能性はありそうね...」


「同じだったら早く捕まえて欲しいなぁ...結構近いし」


「ねぇ...」


「ん、ご馳走様ー!!行ってきまーす!!」


「はーい!気をつけね〜!!」


「うーん!!」



いつもの如く、軽く走りながら学校へ向かう。


「っし、続き読みながら...」


前から読んでいた、転生モノのラノベを途中から読もうとしたその時。


「おい!!君!!危ない!!」


「え────」


目の前にトラックが来てからの記憶は曖昧だ...意識が朦朧としていたから...だと思う。人の声が遠のいていく...頭が痛い...まだ生まれてきて20年も経ってないのに...ママ...。うっ...もし...もし生まれ変わるのなら女子高生がいいな...合法で触...自分の体触れるし...同じ空間に入れるし...俺の好きな...女子...高...生...



「────ください...!」


「お、起きてください...!!大丈夫ですか...!」


「んぅ...?」


なんだかとてつもなく可愛い声で起こされているような気がする...


「な...なんだぁ...?」


「はぁ...!!よ、良かった!!死んでたらどうしようかと...」


とてつもなく可愛い洋ロリ...金髪ストレートで碧眼の...典型的だが可愛らしい...美しいロリだ...じゃなくて


「貴女様の名前は?」


俺の名前を聞いてるのか...?って俺以外居ないか


「じゃなくて」


「?」


「何処だよここ!!」


確実に日本にいたのに一瞬で海外に飛ばされる訳が無い!!


「え、あ、えと...ここはという国です...」


「ラ...ラヴィリニ?」


どこだ...そんな国聞いたこともない...


「はい...そうです...もしかして貴女様は記憶喪失でしょうか...?」


「い、いや...カラは記憶喪失じゃ...」


ん?!?な、なんだ今の一人称は...それになんだ今の声は...


「良かったです...記憶喪失じゃなくて...それに貴女様のお名前はカラ様と言われるのですね」


とほわほわした笑顔で言うが、俺は今とてつもなく困惑している。ラヴィリニという国、そして今の声、この目線の低さ。もしかしてと思い、辺りを見渡し鏡代わりになる物を探す。


はっ!水溜まり!!いい所にあっ...たぁぁぁぁああああああ!!?!?!!?


「う、嘘だろ...」


俺はその時完全に理解した。異世界転生をしたと。そして同時に絶望もした。女になったはいいが...なんで...なんで...



「なんでJKじゃないんだぁあああああ!!!!!!」



はっ思わず叫んでしまった...


「あ、え、あの...大丈夫ですか...?」


「あ、ご...ごめんね...怖がらせちゃったよね...」


おちおちちちちおちおちおち落ち着け俺...こういう時は深呼吸だ、そして深呼吸しながらJKを思い出せ...吸ってー吐いてー思い出せー吸ってー吐いてー思い出せー...


数分後。


だいぶ落ち着いてきたな...


「ふぅ...」


「落ち着きましたか...?」


「あ、うん。ごめんねほんと」


ってか異世界転生の謎だけど何故か言語が通じるんだよな...これマジでなんなんだろ


「いえ、大丈夫ですよ」


この子、ちょっと話したがとてつもなく礼儀がなっていて良い子だな...


「君の名前は?」


「わ、わたくしですか?」


「うん。是非教えてくれないかな」


「わたくしの名前は...リノア・ラーンローザと申します...!お気軽にリノアとお呼びください...!」


「リノア...可愛い名前だね!」


「え...ほ、本当ですか...!」


「うん!いい名前だと思うよ!」


「嬉しい限りです...!!」


...ん?なんでこんなにリノアは嬉しがっているんだ?まぁいいか。あ、そういえば、ふと思ったが...


「そういえばリノアは何でここに?」


「それはですね、この辺にある素材を集めるために...はっ!!忘れてしまっていました!!」


とリノアはこの世の終わりのような顔をする。超絶激カワロリでもこんな顔するんだなぁ


「今日は姫の誕生祭でしたぁあぁ!!」


「ひ、姫!?」


いやまぁ驚くようなことでは無いか...


「そうなんです!!今日はの誕生祭なんですー!!」


「しかももうすぐ始まっちゃいます〜!!」


ものすごく焦っている。顔がそう物語っている。かなりマズイ状況っぽいね...


「じゃあ急がないと!!カラも着いてく!」


「あ、ありがとうございます!」


リノアをお姫様抱っこする。


「ひゃぁ!?」


「あ、ごめん...嫌だった...?」


女の子は突然触られるのは嫌だったかもしれないと思い、そう聞くとリノアは


「い、いえ...嫌では...」


と、少し顔を赤くする。


「そう?なら良かった」


一瞬、リノアが慌てたが本人が大丈夫と言ったので無視することに。そしてリノアにラヴィリニについて聞く。


「クゥロ姫というのは一体誰なの?」


「クゥロ姫はここを統治している国、ラヴィリニの王、ユラ様のたった一人の娘で別名、とも言われております。」


「紺氷の姫君?」


「その表情の変わらなさや、髪色も相まってそう呼ばれています。」


「髪の色が紺...ってこと?」


「はい...そうなんです...氷と呼ばれている理由は...」


「表情が変わらない...ってことだよね?」


「そ、その通りです!カラ様は賢いんですね!」


「えへへ...そうかなぁ...」


なんでか様付けされてるけど...まぁ良いか


「あ、あの...」


「ん?どうしたの...?リノア」


「カラ様は...どうしてそんなにも力持ちなのですか?」


「え?」


た、確かに...俺の体はロリだ...本来なら俺の力はロリと同じ力、つまり人の体を走りながらお姫様抱っこなんて出来ないはずだ...


「もしかしてカラ様って...」


な、なんかマズいこと言われる!?


「勇者様かなにかなのですか!?」


「え?ゆ...勇者?」


俺が...?今の体で?勇者?


「いやそんな大層な者じゃないよただの」


「ただの...?」


「ただの...」


「ただの!?」


リノアがほんのり期待した目でこちらを見てくる。何か面白いことを言いたいが...。でも

俺って今なんなんだ?見た目上は女児だし...年は10歳とかそこらか...うーん...よし


「ただの女児よ!」


「...」


スベったか...?


「カッコイイです!」


どうやら刺さったみたいだ。良かった。



「あ、あそこです!この世界で1番平和な国、ラヴィリニ」


「へぇ...1番平和な国...」


なんか某みたいな国だな。あれ。


「あー!この音...パレードが始まってます!!」


「この距離じゃ間に合わ...っ」


リノアが間に合わないと言おうとした...その時、俺は間に合わせようと本気で力をふんばった。


「いや間に合わ...」


「えっ...カラ...様...?!」


すると。



〈trans〉



「せるっ!!!」


一瞬でラヴィリニのとてつもなく高い塀を超えてしまった。


「うぇぇっ!?」


「なんだあれ」


「うわぁ...」


「お、おい上から女の子2人が落ちてくるぞ!!」



ラヴィリニにいる人達が俺とリノアを見て、驚愕する。そりゃぁそうか。俺、塀超えてるもんな。...ん?


「な、なんじゃこりゃぁあああ!?!?」


「カ、カラ様ぁあああああ!!!!!」


飛び越えたはいいがこの後どうすれば良いんだぁ!?


突然塀を飛び越えたので、対策の仕様がない。転生してすぐに俺は死んでしまうのか...。そんな思いが頭に過ぎるが、そんなのは嫌だ...!!


「マズイぞ!!」


「マズい...っ!!」


「死ぬっ...!」


せめてリノアだけでも...っ!!


「カラ様...っ!」



と空中で体勢を変えリノアを守るように落ちていく。すると


「〝アイスブリッジッ!!〟」


と、誰かが唱えると、突然氷の橋が下に生まれ、俺とリノアは助かる。


「うぉっ!?」


「きゃっ!!」


「いてて...大丈夫?リノア」


なんとか生き延び、リノアの髪の毛を顔が見えるように整えて、リノアの安全確認をする。


「カ、カラ様ぁ...」


と涙目で抱きついてきた。


「良かったですぅ...」


「ふぅ...」


た、助かったぁ...


「ねぇ...」


紺色の髪の女の子が俺に話しかけてくる。


「ん?」


「えっ!?」


「貴女達...話がある」


クールな表情で、俺の事を真っ直ぐ見つめてくる。俺は綺麗すぎるその子を見つめ返していると、リノアは


「ク、クゥロ様ぁぁ...!?」


と、思い切り焦りながら大声を出す。


「えっ!!?!」


こ、この子がクゥロ...姫?





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る