第8話 過去の出来事。両親への挨拶
小さい頃のお話。それは、修一。
修一は、第二次世界大戦を経験している。小さいこともあり、兵隊として日本を背負うことはなかった。そして終戦後、日本は国を立て直すことになる。
大人になると、修一は散髪屋を経営していた。理由は特になく、手先が器用だった。それが理由の一つで『何かをしたい』という思いは特になかった。
散髪屋を経営を始めたとき、サヤ子がそのお店に通うことになった。最初は、お客として通い続けていたが、次第に意気投合し、休みの日には一緒に遊ぶ仲になっていた。
外食の時、サヤ子は美味しそうに食べているところが、修一にとって幸せに見ていた。サヤ子は、太っているサヤ子が好きだった。
休みの日にはどこかに遊びにいって、二人仲良く外食をして終わる。そんな幸せな二人が数年続いた末、結婚することになった。
修一は散髪屋を経営し、家事はすべてサヤ子が行う。役割分担ができていた。それがずっと続けばよかったのだが、ある日のことだった。
修一は、いつものようにお客さんの髪を切っていたが、刃が皮膚にあたりケガをさせてしまったのだ。その出来事が起こったため、修一は散髪屋を辞めることとなった。その一回で、人に髪を切るということに恐怖を覚えてしまった。それ以降は、髪を切るということはなかったが、長い未来にその機会が現れるのは、まだ先のお話。
その事故もあり、仕事を失ってしまったが、サヤ子の兄である今谷が会社を設立していたのだ。タイミングが良かったため、そこで社員として修一は働くことになったのだ。
サヤ子の兄である、経営者の社長、今谷。その弟である和彦と主に三人で、小さいながらも会社として成り立っていた。修一は転職もせず、この三人でとても長い間、仕事を共にすることになった。
サヤ子の娘である優子は、高校生になり高校生活を楽しんでいた。幼少期は病院の中での生活が大半を占めていたため、高校は自由に過ごせるのが、何よりも嬉しかった。
ある日、先輩である辰さんと出会うきっかけがあった。そのきっかけが彼女の人生を左右することになった。一つのきっかけによって、二人は一緒に遊んでは出かけたりと青春時代を過ごした。
一緒にいるうちに、優しい辰さんに恋を寄せていた。それからというと。二人はお付き合いをすることとなった。二人にとっては、初めての恋愛であった。何か変わったことはなく、今までとなにも変わらず楽しい日々を過ごしていた。
それからというと、先に辰さんは高校を卒業することになった。辰さんは高校を卒業後に辰さんの父親が大工をしているということもあり、卒業後は父親のそばで一緒に大工として働くことになった。
見習いながらも、父親の背中をみながら、大工としての腕を磨き、社会の世界へと羽ばたいた。
優子が高校を卒業するのが近くになるにつれて、辰さんと今後、どのように過ごすのか話すことになった。話をした末、卒業をした後は辰さんのサポートをする形を選び、小さいマンションながらも、二人は同居生活をすることになった。
そんな生活が続くうちに、生涯一緒に過ごそうと結婚を考えることになった。今現在、安定もしているため、問題もなかったため、結婚をすることとなった。
そのことを、優子の両親に挨拶をするため、二人は両親に会う準備をすることとなった。
仕事の休みの時に、両親と会う約束を優子から両親に話をしてくれた。両親と会う当日、辰さんはスーツ姿で会う準備をしていた。
身だしなみを何回も鏡を見ながら直しては整えての繰り返しをしていた辰さん。それくらい、緊張しているということなんだろう。
優子はそれをみて、
「(辰さんが緊張している)」
と、思いながら内心笑っていた。優子本人は両親に会うだけだから、緊張というのは全くなかった様子。
準備ができた二人は、優子の両親に会いに行くため、車で移動することとなった。
助手席には優子が乗っていて、運転席には辰さんが乗って運転をしていた。移動をしている最中でも、緊張しながら運転している辰さんを優子は見ていた。
到着すると、辰さんは優子に、
「服乱れて…ない?これで大丈夫?」
と、車内で何度も聞いてくる辰さんに優子は、
「そんなに緊張しなくても大丈夫だよ。服も乱れてないし、肩の力を抜いて。そうじゃないと、体が持たないよ?」
気にかけながらも、リラックスさせる言葉を交わした。
その後は、優子と辰さんは車から降りて、両親が待っている家へと向かったのだ。
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