第10話 初めてのお風呂

<ラルゴ>


ううう。ほっとして、落ち着いてみると体が気持ち悪いことが気になる。魔女が唱えたたんぱく質を溶かす魔法のせいで僕の体はぬるぬるだった。執事さんが肌をさすっている僕の姿を見て察してくれたようだった。


「お嬢様、お風呂の準備ができました。本当はメイドなどの女性が準備すべきでしょうが、今日は私しかいなくて申し訳ありません。私はキッチンで食器を洗いますので、ごゆっくりどうぞ」


女性扱いされて気を使われている。僕は本当は男なのにそんな扱いされたら、恥ずかしいなんて言うすべもない。


お言葉に甘えて、脱衣所でボタンの位置が男女逆のブラウスを脱ぐことにした。フォルテの裸を見るのは申し訳ない気持ちで一杯だけど、ぬるぬるの体のままは、彼女の名誉に関わるので、体を洗うしかない。全部、言い訳でしかないなんて自嘲する。


ブラウスを脱ぎ、スカートのホックをして足元にストンと落とす。下着だけの姿になる。セクシー系のものつけてるな。僕なら、かわいい系をつける……いやいやっ! 何を考えてるんだ! 僕は変態か! もし、すぐに元の体に戻れるのなら、この下着をつけ続けるんだろうけど、仮に入れ替わりが長期になるのなら、自分でかわいい柄のものを買いに行って……って僕のバカバカバカバカ!何の計画を立ててるの!


裸になったけど、ううう、誰にも見られてないのにっ! 見ているのは自分なのに恥ずかしいよ! 湯船に沈んで心を落ち着かせるか。


待てよ。湯船にタンパク質が浮いてるところを執事さんに見られたら恥ずかしいから、まず、髪と体から洗うか。


ショートカットだから、洗いやすいな。フォルテってロングヘアが似合うと思うんだ。くねくねさせたり、お団子ヘアにしたりして、かわいい髪型お試しして似合うの見つけて遊びたいな。ぼ、僕は男なのに何を考えてるんだろう。


そういえば、テヌートのやつ、髪の毛の匂いを嗅いでいたな。僕を床どんして、手首を押さえつけて。発情してた。僕を手籠めにしようとてるかのように。な、何を思い出してるんだ! いやああああ。


その時、僕の体が、ぶち猫のようにコバルト色に光りだした! そういえば、あのときも体が光った。魔女はコバルトプリンセスって言っていたがなんだろう。テヌートの紅潮した顔のことを想像するとなぜかこうなる。


何が僕の体に起きているんだろうか。あの時のようにピンチになれば、テヌートのことを考えれば、コバルトプリンセスとやらになるんだろうか。


何はともあれ、慣れないなりにゴシゴシと体を洗って女の風呂というものを初体験したのだった。



<シャープ>


お風呂だ! ひゃっほーい! 俺様はこれからぬぎぬぎして、裸を拝むわけだな。ぬぎぬぎっと。は、はだかだ。女の裸だ。おっぱい大きい! ぼいんぼいん! 俺はすさまじく感動して、語彙力を失う。茂みが! 女体の神秘が!


鏡を見ると俺の上半身が映っていた。なかなかの美人でグラマラスな体型、目が血走っているのが、俺自身の興奮っぷりを伝えている。


一人の風呂だけでも、これだけたまんねぇのに、共用風呂とか温泉とか行ったら鼻血で失血してしまうんじゃねぇかな。すげえ。女になって良かった。


おっぴろげのガニ股で湯船に向かう。ざぶーんと飛び込む。気持ちいいぜ。


長く伸びた髪が湿り気を帯びて重くのしかかる。待てよ。これから、こんな長いの洗わなきゃいけなくなるのか。めんどいな。ロングヘアーのお姉さんは好みだけど、自分がなるのは微妙だわ。まあ、洗わないのも手だが、バッサリとショートカットにしてしまってもいいかな。


さてと、体洗うか。女の体ってきめ細やかで柔らけえ。もち肌だ。自分の体だから、触り放題だよな。ゴシゴシするたび、ぼいんぼいんが揺れてる。くっそやべえな。エロ過ぎ。たまんねぇ。女の体って最高だな。

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