僕のリア充計画が破綻しそうになっている話

@ashinaga

エピローグ 神谷薫の覚悟

学生の本分は学業だと大人は口を揃えて言うことだろう。


それは正しい事だということも理解しているし疎かにするつもりも無い。


しかしながらだ。僕、神谷薫のその言いつけだけを守り通した中学時代はお世辞にも良いものとは言えなかった。


周りが友情や恋愛にうつつを抜かしている間も部活と勉強だけをひたすらに愚直にこなす日々を送っていた。


その甲斐もあり、学面では全国模試でも上位100位以内をキープできていたし、部活で勤しんでいた野球でも全国という舞台にスタメンで出場することができた。


クラスの、学校の模範となる生徒でいたと自負している。


ただ、そんな3年間を過ごして僕は思った……


「アニメ漫画のリア充青春をおくりたい!!」


そう決心してから高校入学までの半年はあっという間だった。


中学までの神谷薫を捨てるためにも県外の高校を選び、オシャレに無頓着な僕とは対称的な姉に髪型や服装の指南を受け、会話術の本を読み漁った。


どれも過去との決別をするために望んでの事なので苦ではなかったし、環境にも恵まれていたと思う。


そんな事をふと考えながら姿見鏡に映った自分にもう一度目を移す。


「変じゃない……よな?」


まだ見慣れない僕だけの城にぽつりとこぼした独り言が消えていく。


かれこれ20分はこの場で立ち尽くしていたがスマホのアラームが鳴ったので決心をつけることにする。


履き慣れないローファーに足を包まれ、気持ちは不安と緊張に包まれ、僕……いや、俺はまだ見ぬ世界(青春)に少しばかり心躍らせ1歩を踏み出すのだった。

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