FIRE MEET GASOLENE
β
職業殺し屋
アキラはため息をつきながら帰路についた。
いつも通りだ。
いつも通りの仕事で、いつも通りの結果。
「つまらねえな……」
誰ともに言わず言った言葉は喧騒に消えていった。
二〇××年。
ノストラダムスも来ないし、未来のロボットとやらもいない。
あるのは、勘違いした多様性とやらで口やかましい奴らが支配している現代だけだった。
つまらない。
もっと刺激的で、もっと興奮するような……。
「はあ……」
アキラは汗でべとついた髪の毛を振ると、古ぼけたアパートに入った。
金はある。
こんな場所なんぞすぐにお別れ出来てしまうくらいの金額が。
女も抱いてきた。
遊んだこともあった。
だがつまらない。
鉛玉一発で終わってしまう仕事。
何かもっと……。
自分が燃え尽きてしまうくらい、もっと燃えるようなこと……。
もっと……。
もっと……。
けばけばしい虹彩。
そして漂う不潔な臭いをかぎつつ、アパートのドアを開けた。
シャワーを浴び、洗濯物を明日に回す。
あ~何か買えばよかった。
だが、もうシャワーを浴びた後。
アキラは諦めたようにソファに体を沈めた。
寝るか。
背伸びをし、ゆっくりと天井を見た。
電気を消し、深呼吸をする。
明日もまたつまらないか。
どれくらい寝ていたのか分からない。
その足音を覚えた時。
深夜二時を回っていた。
アキラは覚醒し、半ば脊髄反射のように銃を手にした。
人間は三人。
ドアのもとに行き身を潜める。
足音は隣の部屋についた。
ドアをノック。
足音から男性。
(デリヘルってわけじゃねえな)
突如爆音が聞こえ、男たちが部屋に雪崩れ込んでいく。
叫び、悲鳴、銃声。
「物はどこだ⁉」
物?
銃声。
呻き。
「お前たち……」
うるせえな。
だが……。
「面白いもん見つけた」
アキラは隣の壁に銃弾を放った。
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