一千夏と恭太郎(ichika&kyotaro)

ナカムラ マコ*O.G.M.S.

一千夏、久々に幼馴染みを誘う


恭太郎視点:


外で夕飯食べようと一千夏いちかに誘われた。


『夕食代もらったんだけど、いっしょにどう?』


『 あ、俺ももらった。でもバイトがあるから7時過ぎるけど』


『 あんたバイトしてんの?まあいいわ。どこにする?』


『 駅前の総合ビルのそばがバイト先だから、その辺のどっかで』


『 わかった。エントランスのソファかベンチで待ってる』


一千夏はいったん《俺断ち》を始めると、LIMEすらしてこなくなる。

今日ひさびさに来たメッセを見て、俺はあ、もしかして潮時かもな、と思った。



俺と一千夏の母親は、今日いっしょに温泉に旅行に行った。

俺は飯くらい作れるが、一千夏は料理はさっぱりなのだ。


「一千夏」


一千夏に声をかけると顔を上げて俺を見て…変な顔をした。


「恭太郎?」


「悪い、待たせた。何食いたい?」


「うん、オムライス食べたい」


「じゃあ、〈卵とわたし〉か〈BELL〉かな」


「〈BELL〉の普通のオムライスがいいな。バリッとしたやつ」


決まったので〈BELL〉に向かう。


一千夏は黙って付いてきた。まじプライベートで話するの何ヶ月ぶりだろう。


店に入って、二人ともオムライスを注文した。


「で、その爽やかスタイルは何?」


どうやら、俺の今の格好が気になっていたらしい。


「あー、これな。バイト先が私服にもうるさいんだよ」


「ま、あの黒一色のダサダサファッションよか全然いいけどね」


「まあ、そうだよな。俺もそう思う」


「バイト先って、どこよ」


「ああ、あそこ、通りの向こうの〈maximum joyfull〉って店」


「うそ、キラキラのお洒落カフェじゃん。コーヒー一杯700円って本当?」


「本当。でもめっちゃうまいブレンドだし、一杯おかわりサービスあるけどね」


「なにがどうなって、あそこに入ったの?」


「まあ、いろいろあってさ」


オムライスが来た。


わざわざスプーンが紙ナプキンでくるんである。これがレトロでいいらしい。


「で、お前、俺とこんなところで飯食っててもいいのか?」


「…大丈夫」


「そうか」


なんだか変な感じになって、あとは黙々と食べて店を出た。


このまま俺ん宅に来るらしい。あー、やっぱりそういうことか。変な輸入菓子やら飲み物やらを〈カルディア〉で買って帰った。

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