第23話

「もうちょいで、鉱石が満タンになるから、一度帰るぞ。」


採掘マイニング作業をしながら、ダンさんが私たちに向かって言ってくる。


「は~い。」


「はい。」


私と、ラクスが返事を返す。


と、その時だった。


部屋の入口付近に、赤い色の骸骨がPOP湧いたした。


「赤い色のスケルトン!?」


私が驚きの声を上げると。


「エリートだっ! 逃げるぞ!」



★エリートモンスター★

*通常のモンスターよりも強化されたモンスター。

*余程の熟練者かレア装備以上で固めていないと1人で狩るのは不可能。



赤いスケルトンを見て。


ダンさんが大声で言いながら、転移門ゲート巻き物スクロールを使用する。


赤い色のスケルトは、ダンさんにターゲットをロックした。


そして、ダンさんに向かって、かなり離れたにも関わらず、手にした剣を水平に薙ぎ払った。


私は、ほとんど直感だけで、ダンさんの前に飛び込むと盾を構えて居た。


ドンッ!


っと。何かに殴りつけられたような感触が盾から腕に伝わり。


私のHPゲージが3割ほど削られた。


「きゃっ!」


盾で受け止めたのにも関わらず。


私の身体は、赤いスケルトンの攻撃に耐え切れずに、詠唱中のダンさんを巻き込んで弾き飛ばされた。


「大丈夫か!?」


ダンさんが、私に回復ポーションを掛けながら言ってきた。


「何とか。 直撃だったら、ヤバかったかも。」


赤色のスケルトンから目を離さずに私は答える。


「あの赤いの。 平和ピースが効かないわ!」


ラクスが、少し慌てながら私たちに言ってくる。


「ありゃ、エリートMOBモンスターだ。


平和ピースも、煽動アジテーションも効かないからな!


ラクスは、平和ピースだけを奏でて、他の雑魚のタゲを外しておいてくれ!


水無月は、ゲートを出すまでの時間稼ぎを頼む!


倒そうなどと考えるなよ!」

 

再び、転移門ゲート巻き物スクロールを使用するダンさんだが。


赤いエリートMOBモンスターのスケルトン。


まるで、ダンさんの詠唱を邪魔するかのように、攻撃を仕掛けてくる。


「だぁっ!」


私は、慌ててダンさんと赤いスケルトンの間に割って入り、盾で攻撃を受け止める。


盾で受け止めるも、赤いスケルトンの攻撃は、私ごと吹き飛ばしてダンさんを巻き込だ。


「みーちゃん!」


ラクスが声を上げて、私の心配をする


「大丈夫! ダンさん、もっと離れて詠唱して!」


ラクスに返事を返して、ダンさんに離れるように言う。


「すまんっ!」


そう言って、ダンさんは急いで赤いスケルトンから離れた部屋の端っこに向かう。


ダンさんは詠唱を中断されたが、私に巻き込まれて、吹き飛ばされただけなので生命力HPの減少はない。


だけど、私は盾で受け止めたのにも関わらず、生命力HPが3割も削られていた。


そして、次の瞬間。


最悪の事態が起こった。


エリートスケルトンは、大きく武器を振りかぶると。


範囲攻撃を放ってきた。


幸いにも、ラクスは攻撃範囲外だったのだけど。


私と、ダンさんは攻撃範囲内に入っていてしまった。


エリートスケルトンの範囲攻撃が当たり。


盾で防げなかった、私の生命力HPは、一気にレッドゾーンに入り残りHPが25に。


詠唱中のダンさんは、クリティカルヒットでも出たのか、死亡して幽霊になってしまった。


《これは、全滅かな……。》


私もラクスも、魔法スキルは帰還リコールを詠唱できる分しか上げていない。


だから、蘇生リザレクション転移門ゲートも開く事はできない。


回復ヒール!」


何処からともなく、回復呪文が唱えられて、私のHPが70まで回復した。


「そっちの前衛は、俺と一緒に、エリートの迎撃!


あや! 蘇生リザレクションを!


敵対値増加ヘイト!」


部屋の入口に、いつの間にか現れた男性プレイヤーと、女性プレイヤー。


「判ってるわよ! 回復は自分でしなさいよねっ!


蘇生リザレクション!」


あやと呼ばれた女性プレイヤーは、ダンさんにターゲットを合わせると、蘇生リザレクションの魔法を詠唱しだした。


男性プレイヤーの敵対値増加ヘイトスキルにより、エリートスケルトンのターゲットが、男性プレイヤー、ガーランドの方に切り替わった。



敵対値増加ヘイト!:盾スキル★


MOBモンスターの自分への敵対値を上げて、ターゲットを自分に向けるスキル。


「水無月さん! 敵対値ヘイトは取るから攻撃をっ!


受け流しパリィ! 敵対値増加ヘイト!」」


ガーランドから声をかけられて我に返る私。


受け流しパリィ:武器&盾スキル★

*武器や盾で、相手の攻撃を受け流すスキル。



「やぁっ! 強斬撃スラッシュ)!」


ガーランドさんに言われて、素早く腰袋から生命力HP回復ポーションを取り出し。


自分に掛けると、通常攻撃に混ぜながら攻撃スキルを繰り出す私。


★回復薬は、飲む事でも身体に掛ても効果はある★

*ただし、回復効果は飲む場合よりも若干落ちる。


その間に、あやはダンを蘇生リザレクションさせる事に成功した。


 

「済まない。 有り難う。」


ダンは、あやに礼を言うと


「回復は、自分でお願いね。」


それだけ言うと、あやはエリートスケルトンと戦っている私たちの援護に入る。


攻撃力強化エンチャント・ウェポン防御力強化エンチャント・シールド!」


私と、ガーランドに、武器強化と防御力強化の支援効果バフを掛ける彩。


魔力MP切れ! 回復は自分でしなさいよっ!」


それだけ言うと、彩はMP回復の為に、その場に座り込んだ。


★座る★


*座って、じっとする事により、通常の1.5倍の自然回復速度でHP&MPが回復できる。

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