第21話

「それと、これ。 アイテムを換金したゴールドです。」


そう言って、私はダンさんにトレードを申し込む。


「おっ。悪いな。」


申請されたトレードを見て、ダンさんの表情が変わる。


「お前らの取り分は?」


小切手の金額を見て、私達に言うダンさん。


そう、私たちは、換金したアイテムを全額小切手にして、ダンさんに渡しているのだ。


ダンさんは、記録マーク巻き物スクロールを買った上に、武器防具を私達の為に使ってくれている。


だから、アイテムを換金して小切手にする時に。


ラクスと相談して、今回のゴールドは全部ダンさんに渡すと決まったのだ。


 

巻き物スクロール代に、武器防具の代金とか。


全部ダンさんに持って貰ったので。


今回のは、全部ダンさんに渡そうって2人で決めたんです。」


そう言って、ダンさんに向かってニコリと微笑む。


「っ……。 ありがとな。」


顔を赤くしながら、ダンさんが私たちに向かって言う。


「それじゃ、俺からもプレゼントだ。」


そう言って、私にトレードしてくる。


トレードされてきたものは。


黒鉄で出来た、HQハイクオリティーロングソードと、HQハイクオリティーブラストプレート防具のセットだった。


だけど、私はトレードされてきた物をキャンセルする。


私の行動に、不思議そうな表情を浮かべるダンさん。


「ダンさん。 防具の方はノーマルで、お願いしますね。」


ニッコリと微笑みを浮かべてダンさんに言う私。


「どうしててだ?」


怪訝な表情をして、私に言うダンさん。


「今の時期なら、鉄よりワンランク上の黒鉄防具のHQハイクオリティーなら結構な高値で売れますよね?


なら、それは、ダンさんが売りに出してください。


私はノーマルで十分です。」


そう、私は基本的にラクスと行動する方が多いだろう。


生産職のダンさんは、何かとお金も必要になるし。


何よりも。


「私たちの中では、ダンさんが一番長いUSO経験者なんですから。」


ラクスが、ダンさんに言う。


そう、CBクローズベータからUSOをプレイしてるダンさん。


私たち2人より、3ヶ月分のアドバンテージを持っている。


なら、ダンさんを信じて動いた方が。


私とラクスの2人は、スタートダッシュを他の正式サービス組みより早く有利になれる。


これも、ここに来るまでにラクスと話して決めたこと。


「そうか……。


んじゃ、いっちょ。


2人の期待に添えないといけないな。


大手ギルドみたいには稼ぐ事はできないが。


2人のマイハウスを建てれる程度には、スタートダッシュを決めないとな。」


そう言って、再び暑苦しい…… 略。

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