エメラルド様のデスゲーム
non-mame
第1話 憧れのデスゲーム
近頃ネットで噂になっている動画配信者がいる。
『エメラルド様』と名乗る素性の知れない男――声から予測したファンの意見である――によるデスゲーム配信。
とは言ったものの、規制のかかるグロシーンがないことから、命は取らない偽のデスゲームだと言われているが。
それでも屈指の人気を誇る訳とは、念入りに準備された舞台、見るものでさえ恐怖に陥れてしまう演出、『エメラルド様』本人の背筋が冷えるナレーション。
そんな彼が、一大イベントを企画した。
「『エメラルド様』のデスゲームに参加できるチャンス!?」
私は『エメラルド様』の隠れファンをしている女子高生、
代々魔法剣士の家系でとんでもなく裕福。
『エメラルド様』の指定する参加費用五百万円を、高校生の身でありながらお年玉で払える程には。
「参加要項が――成人済であること、参加費五百万円を払うこと、DMで連絡すること、命の保証はしなくても良いこと、かぁ……」
二つ目と三つ目は何とかなるものの、未成年の私にとって一つ目の要項は落胆以外の何物でもなかった。
四つ目の要項は、命を取られないことは分かっているからただの脅しだろう――中には本当に殺しているんだと騒ぐアンチもいるが。
「……」
成人でなければならない理由は何となく分かる。
それでも、この機会を逃したらもう二度とチャンスはないような気がして、DMを送った。
『私は十七歳になったばかりですが、エメラルド様の大ファンであり、どうしても貴方の企画に参加させていただきたいです。夜狩火と名乗ればお金があることは分かっていただけるかと思います。私が成人する一年後でも同じ企画を開催していただく予定はありますか?』
タップと同時に電源を落とした私は、五分と経たぬ間に返信が来ていたことに気が付かなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます