第35話 年齢予想大会

次第にグロック王の姿が目に見えてきた。グロック王は、見た目の年に似合わないほどのスピードで走っている。


「グロック王って、何歳なんだ?」


俺は思わずそう言った。


「さぁ?見た目は結構ありそうだけど…」


「じゃあ、俺の予想70歳」


「じゃあ、私67歳」


「いや、あの速さは実はそんなに年を取ってないと見た!30歳」


そんな感じに年齢予想大会をしている間にグロック王が到着した。


「おい、国綱!これは一体どういう…いや、聞かなくても分かる。なんてことをしたんじゃ!」


グロック王はとてつもなくキレている。


「いや、しかし、あんな怪しい奴らを処分しないなんて私は納得いきません!」


「国綱が納得しないかどうかは知らん!そういうのはわしが決めることじゃ!」


国綱もグロック王には何も言い返せないようで、そのまま説教を食らっている。


「なんか俺、川越先生のこと思い出した…」


誰かがぼそっと言った。


「あー、確かに」


「私も思い出してきた…」


みんなもそれを言われて中学の時のことを思い出したようだ。

川越先生とは、中三の時の俺たちの担任だ。普段はユーモアのあるいい先生なのだが、結構厳しく、1学期の内は怒られない日がないほどだった。しかし、別に何か理不尽な理由で起こってるわけでもなかったので俺達もすんなり受け入れ、二学期からは怒られることも減っていった。今思えば、高校の厳しい校則も案外すぐ呑み込めたのは、そう言った経験があったからかもしれない。


「君たち…」


グロック王がこっちにやってきた。片手にはここがゲームの世界ではなくギャグマンガの世界だったのではないかと思わせるほどのたんこぶができている国綱を持っている。


「あ、はい、なんでしょう…」


国綱の酷いありさまを見て、みんなが少し恐怖心を持ち始めた。


「国綱が酷いことをした。すまない、許してくれ」


そう言いながらグロック王はものすごい勢いで土下座しようとしてきた。


「ああああ、ちょっ、大丈夫です‼」


そう言いながらグロック王より早く頭を下げる者、能力を使って物理的にグロック王より低い位置に行く者、逆にグロック王を高い位置に行かせようとする者と、それはそれで失礼だと止める者。みんなそれぞれの行動をとった。


「のちにしっかりとお詫びをさせていただく。それでは、今日はこの辺で…おい!国綱!お前は…」


「はい、すいません」


グロック王は国綱を叱りながらその場を後にした。


「なんか、せっかく国綱強者の威厳的なの取り戻したのに、一気に無くなったな…」


「ちょっとかわいそう…」

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