誘拐されそうな幼女を助けたら、美人双子姉妹とお付き合いすることになりました
水間ノボル@『序盤でボコられるクズ悪役貴
第1話 美人双子姉妹に絡まれる
「……ねえ、西城くん。なんで9位なのですか?」
今日は中間テストの結果発表日。
廊下の掲示板に、テストの順位が張り出される。
順位表に群がる生徒たち。
それを少し離れた場所で見ていた俺、
「どうして9位なのですか?」
「いや、どうしてと言われても……俺の実力だからだよ」
俺に話しかけてきた女子は、
高校入学以来、まったく話をしたことがなかった。
黒いきれいな髪を右に結ってあって、澄んだ美しい双眸は俺を真っ直ぐ見ている。
鏡さんは、いわゆる「才色兼備」と言われる女の子。
成績は常に学年1位で、生徒会役員で、しかも学園一かわいいと評判……
いや、学園一の言うのは諸説あるみたいで、もう一人のほうがかわいいという意見もあって……
――まあ、俺には関係ないことだけど。
「実力……西城くんは、もっとできるはずじゃありませんか?」
「いや、そんなことないよ。ていうか鏡さんはまた1位なんだね。おめでとう」
「……っ! 西城くんが本気を出さなきゃ意味ないんですっ!」
鏡さんはそう言うと、走り去っていった……
いったいなんだろう……?
鏡さんとは中学の時に同じ塾だったが、その時も話をしたことはなかった。
ずっと鏡さんはずっと1位だったし、いつも目立っていったけ。
(周囲の視線を感じる……)
俺みたいな特に目立たない男子と、成績トップ入学で美人の鏡さんが話していたら、それ自体が珍しいというか想像できない絵だし。
注目を集めるのは仕方ない、か。
(高校では目立ちたくないのに……)
★
放課後――
俺はひとりで地元のゲーセンに来ていた。
いろいろあって家に遅く帰りたい時は、よくゲーセンで時間をつぶしていた。
「今日はこれをやるか」
俺は格ゲーの筐体にある席に座る。
適当なヤツと適当に戦って時間をつぶそう。
そう思って俺は百円を入れてプレイを始める。
いろんなヤツと俺はどんどん対戦していった――
「……ふう。今日はこれで帰るか」
もう二時間経ったか……
今日はもう帰ろう。
俺が席を立つと――
「ちょっと待ってよ! 勝ち逃げする気なの?」
対戦相手の席から声が上がった。
「……? いや、俺はもう時間だから。他のヤツとやってくれよ」
めんどくさいやつだな……
まあ地元のゲーセンだし、いろんな人間がいるから絡んでくる変なヤツもいるか。
適当に無視して帰ろう。
「ぐ……っ! 待ちなさいっ!」
俺は後ろから手を掴まれる。
振り返るとそこには――
「え……鏡さん?」
首にヘッドフォンをかけて、スカートを短くした鏡さんいた。
いや、これは学校で会った鏡さんではない。
もう一人のほうの鏡さんだ。
うーん、どちらかちゃんと覚えていない。
二人が双子だということ、そして二人とも美人だいうことしか俺は知らなかった。
「え、西城くん? もしかして……ランク1位の『シルバー』様って西城くんのこと?」
(えっ? 様付け??)
「あ、えーと……たぶん人違いかな。ははは……」
「西城くんがシルバー様なんでしょ? だってゲームの画面にシルバー様って出てたもん」
そうか。ユーザーネームが画面に表示されるんだった……
自分がシルバーだとバレるのは避けたかったが。
「ごめん。俺がシルバーだよ。一応ね」
「やっぱりね。あたし、ランク2位のねこねこだよ。ずっとシルバー様が来るの待ってたんだ」
「どおりでかなり強かったわけだ」
「あの、もう一回、もう一回だけあたしと戦って? お願い!」
鏡さんが頭を下げてくる。
ゲームひとつでここまで頼み込まれると逆に恐縮してしまう。
しかも学園で一番目か二番目にかわいい女子から頼まれてしまうと余計……
「わかった。もう一回対戦しよう」
「やった! よし! 次は負けないぞー!」
俺は格ゲーの筐体の席へ戻る。
こうして俺たちは対戦を再開する。
(……なんだか人が集まってきている)
ランク1位とランク2位の戦いだからかもしれない。
このゲーセン内で、かなり注目の対戦となってしまった。
かなり多いギャラリーの中、俺たちは対戦して――
「あーあ。負けちゃった。やっぱりシルバー様は強いね」
「ありがとう。ねこねこも強かったよ」
「また再戦してね」
「うん。またやろう」
鏡さんとお互いの実力を称え合う。
ギャラリーも俺たちの試合内容に満足したようで、拍手をするヤツもいた。
同じ学園――有栖川学園の制服を着ているヤツもいるから、明日、学園で噂になるかもしれない……
(早くゲーセンを出たほうがいいな)
「じゃあ、鏡さんまたね」
★
「今日はやたらと女子と話してしまった……」
中学でいろいろあった俺は、高校では女子とあまり関わらないようにしていた。
今日は二人も目立ちすぎる女子と話してしまったわけで……
「ま、珍しい日もあるもんだ」
俺は駅を降りて、住宅街を歩く。
季節は7月。もう日が暮れかけていた。
俺が公園を通りかかると――
「お嬢ちゃん、このカードあげようか?」
オッサンと小さな女の子が話している。
オッサンの手には、キラキラ光るカードが握られていた。
レアカードってやつだ。
少し見ただけで、二人が親子の関係でないことはわかる。
父親が自分の娘に「お嬢ちゃん」とはなかなか言わないだろう。
「うん! それほしい!」
「そうかそうか。ならあげるから、おじさんと一緒に来ようか……」
「えっ?」
オッサンが女の子の手を掴んだ。
(これってまさか……誘拐か?!)
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