旅の途中にて 2

一閃

第1話

今、生きてるこの瞬間も心は旅の途中。


風に吹かれ、水の流れの音を聴き、山を仰ぎ見て、森を彷徨い大樹にもたれて座る。上り坂で汗をたらし、時に小石につまずいて。夜は月と語り星に涙する時、心の中には言葉を超えた何かが小さな炎のように燃え始める。それを動力にしてまた歩きだす。


太陽がまぶしくとも、雨で濡れ鼠になりながらも、時に向い風に逆らいながら、歩く、歩く、ただ歩く。


涙するだけではしんどい。笑うだけでは虚しい。泣いて笑って、迷って怒って。それができれば良い。


確かな事は夜は明けて朝が来ることだけ。同じ風は吹かず同じ水の流れもなく。同じ明日もない。


だから歩き続けられる。

旅を終わらせることはいつでもできる。

だから、も一度だけ明日をのぞいてみようと思うんだ。


旅の終わりも自分しだい。

どの道を歩くかも自分しだい。知らぬ人の言葉より、自分の心を信じて歩く。


大空を見上げ翼に憧れ、飛翔ぶことを夢見ながらも、翼を持たない旅人は、前を向き一歩一歩歩みを進める。


それができれば良いと思う。人を生きるって、そんなもんだって信じていたい。

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