お迎え

 わたくしは、満月の日に

 この世に生を享けました。


 満月の日に生まれたからには、

 新月の日に隠り世かくりよに旅立つものだと思っておりましたのに。


 満月の日に、

 わたくしは、満月とともに連れ去られました。


 あぁ、

 それなのに、

 これを安堵するものがいたのだなんて。


 悔しくてなりません。

 わたくしが月に還されたことを

 嘆いてくれるものが不在であったことが。













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