第58話 VS悪魔……?
なんかバグったんであげなおした。
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「———ケケケッ、カハハハハハハッッ! おもしれーなァ! このオレ相手にそんな大口叩ける奴は数百年振りだぜェ?」
「お、おう、そうか……。やっぱり随分と嫌われてるんだな、お前。まぁそんな気持ち悪い笑顔なんか浮かべてたら自業自得感すごいけど……」
俺がそこまで言ったところで、スラングが微妙な顔を浮かべているのに気付いて直ぐ様取り繕った。
「いや、俺は良いと思うぞ、何か、こう……反面教師になりそうだし!」
「ぜ、ゼロさん、全然フォローになってないです……」
「あれっ?」
お、おかしいな……必死にフォローした気が……。
自分で言ったはずなのに戸惑うという珍事件に俺は頭を捻る。
しかしよくよく自分の言葉を思い出して———テヘッと舌を出してコツンと額に拳を当てた。
「———ごめん、無意識の内に嫌悪感が言葉に出ちゃってたみたい。でも悪気は無いから許してくれない?」
周りからの呆れを多分に含んだ視線を受けてダラダラと冷や汗を流しながら俺が同じ状態で固まっていると。
「…………ケケケッ、本当に……本当におもしれー奴だなァ……。大口を叩くだけじゃなくてオレを煽ってくる奴なんざ……お前が初めてだぜェ?」
スラングが全身を漆黒の魔力で装飾しつつ、バッと翼を広げて心底楽しそうに……それこそ『狂魔』の名に相応しい狂ったような笑みを浮かべる。
しかし此方を睨み付けるくすんだダークレッドの瞳には……狂気の中にと僅かな苛立ちが確かに灯っていた。
や、やっべぇぇぇ……完全に怒らせちゃったよね?
いや、確かに多少は煽るつもりで言ったんだけど……途中からは本気でフォローしようとはしたんだよ!
でもアイツの声を思い出したらつい……。
何て胸中で必死に弁論するも……どう頑張っても俺が悪い以外の何物でもないという結論に至ったため、振り払うようにブンブンと頭を振って誤魔化した。
「ま、まぁ言ってしまったことをぼやいてもしかたないか! よし、そうと決まれば先手必勝!! ———おらあああああッッ!!」
「!? ぜ、ゼロさん!?」
俺は驚いた様なセラの言葉を後方に感じつつ、フライング気味に飛び出す。
お互いの間にあった数十メートルを一瞬にも満たない時間の中で詰め———両手で剣を握りながら渾身の横薙ぎを放つ。
我ながら中々に完璧な一撃だと自負していたが……。
「ケケケッ、ズルい奴は嫌いじゃないぜ?」
「男……いやもはや性別不詳の人外に好かれても嬉しくないんですけど!? せめて人外でもちゃんと性別がある人外になって出直してこい! 因みに見た目が人間じゃない方はご遠慮しております」
スラングの掌に食い込む程度で勢いを失ってしまった。
その様子に驚くものの、俺は平静を装って軽口を飛ばしながら直ぐ様退却———
「———逃がすと思ってんのかァ?」
———ドゴンッッ!!
「くッ……」
「ゼロさんッッ!!」
することは叶わず……俺は騎士ですら身体を真っ二つにされそうな蹴りを横っ腹を打たれ、慣性に従って吹き飛ぶ。
セラの悲痛の叫び声が聞こえるが、答える余裕はなかった。
い、痛ってぇぇぇぇぇぇぇぇ!?!?
え、ただの蹴りで本気の俺の防御力を貫通するくらいの威力があるんですけど!?
チートじゃん、ズルじゃん、審判ビデオ判定お願いしますよ!
何て内心喚きつつ……冷静に身体の損傷を確認する。
左のあばら骨は全滅、片方の肺も破裂していた。
その他にも内蔵が多大なダメージを受け……恐らく脊髄までイッちゃってる。
俺が普通の騎士なら一生歩けない身体になっていただろう。
ただ———俺は良くも悪くも普通じゃない。
正直この程度の損傷なら受け慣れている。
まぁ痛いには痛いが……意識が飛びそうなほど痛いわけでもない。
何なら【
まぁ何かと言うと。
「ぺっ……おいこの野郎、痛いじゃんか。少しは手加減しろよな」
「———っ!? ……カハハハハハハッッ、カハハハハハハッッ!! 良いねェ……良いじゃねーかゼロォォォォ!!」
「俺の名前を呼ぶなよ、めちゃくちゃゾワッとするだろうが!」
この通り、先程の攻撃が元から無かったかのように……何なら思いっ切り叫ぶことが出来るほどにピンピンしていた。
肺が潰れたせいで口内に溜まった血を吐き捨て、相変わらず狂ったように嗤うスラングをキッと睨む。
「そうやって嗤ってられるのも今の内だからな! 直ぐに俺が———ッッ!?」
啖呵を切ろうとしていた俺の話を遮るように、スラングの直ぐ真上に展開された魔法陣から放出された漆黒の稲妻が雷鳴を轟かせながら奔る。
俺は咄嗟に避けようと意識するも……流石に雷の速度には勝てず、雷を視認できる俺の視界では、自分の身体の動きがやけに遅く感じた。
や、やべっ、感電する雷は拙———
「———【
今度は俺の思考を遮るように、背後から青白い稲妻が迸ったかと思えば。
———ズドォォォォォォッッ!!
漆黒の稲妻と青白い稲妻が俺の直ぐ近くでぶつかり、頑丈なこの城を揺り動かすほどのとんでもない轟音と共に、衝撃波が空気を伝って伝染する。
そんなとんでもない衝撃波の発生源の直ぐ近くにいた俺は……。
「どわぁぁあああああああああ!?!?」
当たり前の如く吹き飛ばされる。
もはや踏ん張りなどあってないようなモノで、まるで紙切れのように全身がふわっと宙に浮く浮遊感と共に天井付近まで吹き飛ばされていた。
だが、感電するよりは100倍マシだ。
俺は天井にタッと着地しつつ、掌をスラングに翳しながら蒼白しスパークを散らす魔法陣を展開させたセラへ顔を向けて親指を上げる。
「サンキューセラ! お陰で助かった!」
「いえ、ゼロさんのお陰で落ち着くことが出来ましたっ! 取り敢えず私もあの悪魔を倒すことに専念します!」
セラは一瞬俺の方へ顔を向けて微笑を浮かべたのち、ふわっと宙に浮かんで辺りを埋め尽くすほどの魔法陣を展開させると。
「私は
思わず見惚れてしまいそうなほどに可憐で美しい挑戦的な笑みを浮かべて告げた。
瞬間———数百はありそうな魔法陣から、雷をも越える速度で夜空に浮かぶ星のような輝きを放つ光芒がスラングへと怒涛の勢いで降り注ぐ。
その1つ1つが鋼鉄よりも遥かに熱耐性も硬度も高い魔鉄をも容易く溶かし、穴を開けるほどの熱量と威力を誇っていた。
しかし———高位悪魔の名は伊達ではなかったらしい。
「ケケケッ、ゼノンの妹も固有魔法持ちか。おもしれーぜ本当によォ!! ならオレもちょっと本気を出してやるぜェ!!」
こともなげにセラの魔法を結界系の魔法で防いでいたにも関わらず、そう圧倒的上から言葉を放って1つの魔法陣を展開させると同時に結界を消す。
その魔法陣はスラングの眼の前に展開されており、怪しげな光を帯びている。
訝しげな表情のセラとは対照的にニヤッと笑みを浮かべたスラングは、ゆっくりと魔法名を紡いだ。
「【狂刃乱舞】」
魔法陣が漆黒の光を放つ。
無数の漆黒の刃が、光芒も壁も床も…至る所を無作為に斬り飛ばしながら文字通り狂ったように飛来した。
「カハハハハハハッッ、これを避けられるかァ!?」
「……っ」
魔法と同じ様に狂ったように嗤うスラングの言葉にセラ応えず、アメジストの髪をはためかせつつ、僅かに焦燥感の色を浮かべながらも魔法を駆使して器用に回避している。
そんな光景を俺は一瞥し、彼女が大丈夫だと判断すると。
「……さて、俺も頑張りますか」
俺は【縮地】を使って音もなく床に着地する。
同時に、足が使い物にならなくなっても構わないとばかりに再び【縮地】を連続使用して無数の不規則な漆黒の刃をギリギリで避けると。
「———やぁ、さっきぶり。仕返しに来たぜ」
僅かに目を見開いたスラングの真正面に現れた俺は、剣技———【一刀両断】を発動させて、燃え上がるオーラを纏った剣を振り下ろした。
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おそらくこの話で20万字。
久々にこんないったんですけど。
次は30万&3万フォロワー目指してぼちぼち頑張っていきます。
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