第11話 講談1・お力(10)
そっちの旦那(客A)のような人が支配しているこの世の中なんだ。何が〝つまらぬ、くだらぬ、面白くない〟世の中だよ。一葉もお力もお前も自分の身分と氏・素性を弁えりゃいいんだ。万事金持ちの云う通りにしていりゃいいってことよ。そうすりゃ鬱屈も何もねえんだ。わかったな?」
(言葉を失った気に)ああ、そうすか。まったく、もうやってらんないな…どうもお前さん、ストーカーの回し者だな。あのチンピラどものセリフの「親分(ストーカーのやらせ元。不動産の金満家)の云うことを聞けーっ!」そのものだよ。畜生、もうもう降壇しようかな…。
客B「ワハハハ。まあそう云うなよ。聞いてやっからよ。講釈するよりもう一曲行ったらどうだ?ああ?したらまた〝いいぞ。おカマあ!って褒めてやっからよお。ワハハハ」
ああ、そうすか…(舞台を降りようとする)。
客C女性(か、あるいは姿は見えずとも一葉もしくはお力の声だけ?)「負けないでーっ!私(わたくし)さーん」
(声のかかった方を見て、また客Bを睨みつけてから)ようござんしょ。一曲お聞かせ申し上げますよ。「木曽路の女」の男と女を替えて、♬好きです、あなた♬のあなたを一葉さんかお力さんと思って、お聞かせ申しゃあしょう。わたしゃあね、死んでも一葉さんに、お力さんに、その意気に感じてご随行申し上げるつもりなんですよ。はい、それじゃあ「木曽路の女」スタート。
https://youtu.be/Ih0E5maNLsw?si=jKEoEZoDGuNn7pyp ←ユーチューブ・木曽路の女~宮史郎(セリフ「一次郎さん」入り)コピペして聞いてくださいね。
(気の入った歌いぶりに万雷の拍手を受けて)いやあ、どうもありがとうございます。
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