第4話 白坊主
数年前の出来事
結城誠は、退職代行業者として多忙な日々を送っていた。彼の仕事は、顧客に代わって退職の手続きを行うことで、特に人間関係が原因で職場を離れたい人々からの依頼が多かった。しかし、ある日、彼の元に奇妙な依頼が舞い込む。「白坊主を退職させてほしい」という内容だった。
依頼者は、ある山村に住む老人で、彼の家の周囲に白坊主が現れるようになり、村人たちを怯えさせているという。白坊主は、夜になると現れ、村の周りをうろつくが、誰もその正体を知らない。老人は、結城に白坊主の正体を突き止め、退職を代行して欲しいと頼んだ。
**展開:**
結城は、この不可解な依頼を受け、山村へ向かう。村に到着した彼は、老人から話を聞き、白坊主が現れるとされる夜を待つ。深夜、結城は白坊主と遭遇する。白い衣をまとった幽霊のような姿をした白坊主は、どこか哀しげな雰囲気を漂わせていた。
結城は白坊主に話しかけ、その正体を探ろうとする。白坊主は、かつてこの村で生きていた僧侶の霊であり、村人たちが自分を忘れてしまったために成仏できず、この世に留まっていたことが分かる。彼の未練は、誰かが自分の存在を認め、感謝してくれることだった。
**結末:**
結城は村人たちに白坊主の話を伝え、村人たちが僧侶のために祈りを捧げるように手配する。感謝の気持ちを受け取った白坊主は、静かに姿を消し、成仏することができた。結城は、白坊主の「退職」を無事に代行したことで、依頼を完了する。
この経験を通じて、結城は「退職」という言葉が持つ意味の深さを改めて感じ、人々の心に寄り添うことの大切さを再認識するのだった。
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白坊主は南部では、夜道で人が出遭うといわれるのみで、それ以上の具体的な話は残されていない。タヌキが化けたものという説があるが、定かではない。
大阪の和泉では目・鼻・口・手足のはっきりしない、絣の着物を着た全身真っ白な坊主とも、風船のように大きくて丸い妖怪ともいい、いずれも人を脅かすだけで危害を与えることはない。キツネが化けたものともいうが、土地の古老によれば、この地方のキツネは藍染めの縞模様の着物を着て現れるため、キツネではないという。見越入道に類するものとする説もあるが、見越入道のように出遭った人間の前で背が伸びてゆくといった特徴は見られない。のっぺらぼうの一種とする説もある。
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