次元の狭間でカフェときどき雑貨屋

飛白

第1話

『あぁ〜暇だぁ〜客来ねぇ〜』


あまりの暇さ加減につい声に出てしまう

ここでの生活に飽きてしまったので、軽い気持ちで店擬きを開いたが、そもそも次元の狭間《ここ》にまともな方法以外で来れる者はそう居ない…


まれに不慮の事故で入ったり、彷徨ってくる者もいるが大抵は原型を留めておらず、喋ることすらできない状態になっていることが多い


暇暇言っていてても仕方がないので、少しでも客が来る方法を考えることにシフトチェンジする


現状、次元の狭間に来る方法は俺が設置した扉を潜るか、自然発生した裂け目から来るか、自身や力の衝突で空間が歪みそこから入るの3つだ


ただ扉を潜れば俺の店に直通できるが、それ以外の方法だと次元の狭間を彷徨うことになり、無限に広がる次元から俺の場所まで辿り着く必要がある


ここは非常に危険な場所で、耐性や外部からの力の圧に常時耐えられるだけの魔力等の力があれば問題はないが、そんな者は殆ど居ないので実質不可能で、扉を潜る以外の選択肢は無いわけだ


そういうわけで次元の狭間ここに繋がる扉を増やしたが、家も何も無い場所に扉だけあるという不審物を開ける物好きがいるのだろうか…


まぁ実際はその物好きが何人かいたわけで…

その人物たちは久しく来ていないが、いるにはいるのだ


扉を増設する以外に思い付かないので、意識をに戻し、客が来てもいい様に分身体を残し散歩に出かける


そうして自身の庭とも呼べる場所次元の狭間を漂うように泳ぐ

景色も変わり映えしない、絵具を軽く混ぜたような気色の悪い、見ているとこちらの気分が悪くなるよう景色だ


ここの主が泳いでいるの見た、狭間に住まう周りの達は一目散に逃げていく


そうして狭間の主は今日も優雅に泳いでいる

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