【少し怖い話】神隠しの夜
とろり。
1話完結 あーちゃんの行方
「私の住む村では毎年八月上旬にお祭りがあります」
「わたあめや金魚すくいなどズラリと屋台が並びます」
「過疎地気味の村ですが、このお祭りの日は大賑わいになります」
「お祭りの日、私は友達のあーちゃんって女の子と一緒に出掛けました」
「二人で仲良く年に一度のお祭りを楽しんでいたんですが……」
「あーちゃんがいなくなってしまったんです」
「私は必死に探しました。けれど、あーちゃんが見つかる気配はありませんでした」
「行きかう人たちを縫いながら、隅々まで探しました」
「けれど、やっぱり、見つからないんです」
「村には神隠しの言い伝えがあって私は徐々に怖くなっていきました」
「結局お祭りが終わって、人が散々となった頃、ようやく見つけることができました」
――あーちゃん!
「私は怒りよりも安堵感から涙を流しました」
「話を聞くと、あーちゃんも私のことを探していたようなのです」
「あーちゃんも安堵感からか涙を流していました」
――あーちゃんが神隠しに遭ったのかと思ったよ
――私も、さっちゃんが神隠しに遭ったのかと思った
「会話をすることで不安感が徐々に薄れていきました」
「神隠しなんてない。きっと迷信だろう、と」
「でも、少しタイミングみたいなのがズレてしまっていたら、もしかしたら不幸なことになっていたかもって……」
「本当に消えてしまっていたかも、って」
「思い返すと少し怖いな、と思うんです」
おわり
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2024年8月18日
少し修正しました
【少し怖い話】神隠しの夜 とろり。 @towanosakura
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