没
「ありがとう。気持ちは凄い嬉しいんだけど。結婚は……えーっと俺が大きくなって。気持ちが変わってなくて、かつ法律が変わったらしような」
ラノベみたいに血の繋がりのない義理の妹とかだったら、まだ良かったのかもしれないけど。
《prrrr……》
何?今度は何だ!と言っても、俺の携帯の電話番号を知っているのは元会社の上司と、家族ぐらいしか……あ。コラボの連絡取る為にロリコンさんと連絡先交換したんだった。
やっぱ友達作ろ。もしくはレンタルしよ。
「はい、もしもし〜!自他共に認める愛されフェイス。美少女ちゃんですよ〜」
『どうも、えと……刑務所一歩手前のロリコン犯罪者です』
「どうしましたロリサさん。コラボの話ですか?」
『はい。実はですね、あの時に撮ってた配信か動画のアーカイブがいくら探しても見つからないんですよ。どうしてなんでしょうか?』
撮ってないからですとは言えないよなぁ。うーんどうしよ。まさかこんな早くバレるとは。えーっとどうしよ。
「実はアレ、
『あんなのでですか……』
「思春期なんでしょうね、運営さんも。誰もが通る道なので責めないであげて下さい」
運営さんごめんなさい。許して下さい……。
『で、本題ですが、次のコラボの日程どうします?』
「あーいつでも良いですよ〜。莉紗さんに合わせます!」
『なんかそれエッチですね……。
でしたら来週の水曜日とかどうでしょう?』
「OKです。じゃあ来週の水曜日に……あっ。あー……」
やっちまった。うわぁ。
『どうしました?』
いや、大丈夫と誤魔化して電話を切る。どうしよ。
「御妹様」
『何?』
「水曜日暇でしょうか?」
情け無いと思いながらも、俺は妹に頼るしか無い。ライフラインと化している。
『はぁ……忙しいからね。私は、それを兄貴の為に無理矢理空けてるの。分かった?』
怒ってるわけでは無さそうだが、ハッピーでも無さそうだ。どうすれば良いんだ?
「そう言えば此処ってイルカショーあるんだよ。知ってたか?」
『大体の水族館はイルカショーあるでしょ?』
「それはそうなんだけどさ……そうだね。行こう」
グゥの音も出なかったので諦めた。メリハリが大事。
『大丈夫?』
本当に水族館に来たかったのか?もしくは何処か行きたい場所があったのか。今後の為に聞いておくか。
「何処か行きたい場所ある?」
俯き、少し考えた後妹が出した答えは。
『宝石店とか』
「成程、やっぱりそう言うのが欲しいのか……後は?」
『結婚式場も良いね』
「あーもうそこまで考えている人がいるんだ。おめでとう。他にはない?無いよね」
『兄貴と一緒に入るお墓を作って貰ったり』
「家族だからな。死んでも一緒か」
『じゃあ、今から宝石店行ってから式場で予定立てて、ついでにお墓も建てよう』
「お金無いから、ごめん」
今日が俺の人生のクライマックスなの?
『大丈夫、私が全部払うから。私のやりたい事だし』
「罪悪感で死んじゃうから辞めて」
結局イルカショーどころじゃなかったし、動画に使える素材は殆ど無かった。投稿者泣かせの妹である。結局この動画は没となった。
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