タクシーの運転手から聞いた話!
崔 梨遙(再)
1話完結:600字
太郎さんはタクシーの運転手。妻子がいましたが、会社の事務員の女性との不倫を楽しんでいました。
その日も、仕事の後に事務員さんとデートする予定でした。仕事が終わる時間、車を走らせていると、白い服の女性が手を挙げていました。太郎さんは迷いました。デートに遅れたくない。でも、もう少し稼ぎたい。
迷いましたが、太郎さんは女性を乗せました。
「お客さん、どちらまで?」
「〇〇の辺りまで」
ラッキーでした。結構遠い。思ったよりも運賃が高いから稼げる。デートには少しだけ遅れそうだが、太郎さんは機嫌良く車を走らせました。
「お客さん、〇〇の周辺まで来ましたけど」
「もっと前へ」
「お客さん、ここからどう進めばいいんですか?」
「もっと前へ」
「お客さん、目の前は池しかありませんよ」
「もっと前へ」
「お客さん、ご冗談を。前に進んだら池に突っ込んでしまいますよ」
「もっと前へ」
その時、車がゆるやかに前進を始めました。ブレーキも効きません。
「もっと前へ」
“なんだ? 今、俺に何が起きているんだ? こんなの絶対に現実じゃない”
そこで、携帯電話が鳴りました。妻からでした。
“この非現実的な状況から、現実の普通の世界に連れ戻してくれるかもしれない”
太郎さんは、電話に飛びつきました。
「もしもし、俺だ!」
すると、電話からは妻の声。
「あなた、もっと前へ」
タクシーの運転手から聞いた話! 崔 梨遙(再) @sairiyousai
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