第30話 Hな遊び?

 自室で着替えの準備をしている際、陽葵さんから夕食に関する連絡があった。メニューは“すき焼き”らしい。考えるだけでお腹が減ってくるよ。


時間も教えてもらったので、そのあたりに戻るように調整しよう。早すぎると気を遣わせちゃうよね。



 教えてもらった夕食の時間10分前に、陽葵さんの家に到着した。彼女が出迎えてくれたけど、戻る前と服装が違うな…。


「さっきまで頑張って大掃除してたんだよ。終わってからシャワー浴びたの」


「そうなんだ。大変だったね」


「そんな事ないって。に部屋が散らかってたら萎えるでしょ?」


「肝心な時って何?」


「またまた~、とぼけちゃって~」


何となくこの話は、これで終わらせたほうが良い気がした。



 陽葵さんのお父さんの部屋に1週間分の着替えが入ったリュックを置かせてもらってから、リビングに向かう。


…既にすき焼きの準備は完了してるようで、テーブルの中心に鍋が置かれている。陽子さんと陽菜さんは席に着いている状態だ。


「朝日さんはわたしの隣になります。さぁ、座って下さい」


今までこんな風になった事ないのに…。


「さっき陽菜とジャンケンして決めたんだよ。アタシは負けた…」


そういえば、お風呂場でやったジャンケンでも陽菜さんが勝ってたな。(28話参照)


彼女が強いのか陽葵さんが弱いのか、そのあたりはわからない。なんて考えるのは後だ。席に着くとしよう。


「朝日くん。鍋のそばにある菜箸で取ってちょうだい」

斜め向かいに座っている陽子さんが言う。


「わかりました」


「朝日さん、良ければわたしが一通りお皿に取りますよ?」


「それはアタシがやるんだって!」


「いや、自分で取るから…」

子供じゃあるまいし…。


「お肉もしっかり食べますか? 野菜好きなのはこの前聞きましたが、バランス良くしないとダメですよ」


あんな話を覚えてるなんて嬉しいな。(9話参照)


「ちゃんとバランス良く食べるよ」


「なら大丈夫ですね」


「つまりアタシがバランス良く取ればOKなんだね?」


陽葵さんは何故か諦めようとしない。


「陽葵。引き際をわきまえなさい」


「そうだよお姉ちゃん。しつこいのは嫌われるよ?」


「嫌われる…」


そんなに落ち込まなくても…。すぐフォローした方が良さそうだ。


「これぐらいで嫌ったりしないから。安心して陽葵さん」


「さすが朝日君。心ももデカい!」


「バカ…」


陽子さんの呆れたツッコミの後、夕食の時間が始まる。



 「そういえば朝日さん。着替えは何日分ぐらい用意したんですか?」

隣の席の陽菜さんが訊いてきた。


「1週間分だよ。3日分ぐらいと悩んだけど、汚れる事もあると思って、多く持ってきたんだ」


「男の人はがないのに、下着が汚れたりするの?」


「下着に限った話じゃないでしょ? まったく…」


何かをこぼして服を汚す可能性は考えないの? 陽葵さん…。


「朝日くん。すき焼きの味はどうかしら?」


「とてもおいしいです」

母さんの味付けとは違うのに、すんなり受け入れる事ができる。


「良かったわ。確かハンバーグも気に入ってくれたわよね?(11話参照)」


「はい。あのハンバーグもおいしかったです」

思い出したら、もう1回食べたくなってきた。


「朝日君とウチはって事だね」


「あんたにしてはまともな事言うじゃない。味覚が合うのは大切な事よ」


味の好みが激しかったら、食事の時間は楽しくないと思う…。


「これからも朝日くんのために色々作るからね」


「ありがとうございます」

今後の食事の時間が楽しみだ。



 夕食の時間が終わった。後はお風呂に入って早めに寝るぐらいかな。


「朝日君。さっき君がいない間に手伝って欲しい事を決めたよ」


ボクが着替えを取りに一旦帰る前に、陽子さんが言っていた。『長く泊まるなら、何か手伝ってもらいたいわね』と。その内容が決まったのか。


「連泊する時は『一緒にお風呂』か『添い寝』をしてもらう事になったから」


「…えっ?」

このタイミングでふざけるのか?


「朝日さん、お姉ちゃんはふざけてませんよ? わたし達が望んだ結果です」


という事は陽菜さんもか。


「私は普通の内容にするから、安心してちょうだい」


普通の内容が何かがわからない。普通って、簡単そうで難しい言葉だ…。


「まぁ、朝日君が望むなら今すぐでも良いよ♡」


「わたしもです♡」


むしろ、望んでるのは2人の方じゃないかな…。


「朝日くん。明日は日曜日だから大学はないし、バイトも休みよね? だったらはできるんじゃない?」


陽子さんは娘2人の味方か。とはいえ、すき焼きの件があるから彼女を無碍にできないし、2人の熱い視線で変な気持ちになりかけている…。


「良いよ。一緒にお風呂入ろうか」

自分の気持ちに嘘は付けそうにない。


「ありがと~、朝日君!」


「朝日さんの体を隅々まで洗ってあげますね♡」


「私の事は良いから、ゆっくり入ってきなさい」



 脱衣所に入る、ボク・陽葵さん・陽菜さんの3人。昼過ぎの時とは違い、3人が望んで混浴する流れになっている。


1度タガが外れると、止まる術はないな…。


「陽菜。さっきはアンタがやったから、次はアタシからね」


「わかってるよお姉ちゃん」


姉妹仲良くして欲しい…。そう思いながら上を脱ぎ終わったものの、2人は脱ごうとしない。


「朝日君。Hは脱衣所に入った時から始まってるんだよ」


「突然どうしたの?」

何を言われるか予想できない。


「だからさ、脱がして♡」


「わたしもお願いします♡」


2人揃って過激な事を…。


「それとも、先にアタシ達に脱がされたい?」


「わたしはどちらからでも良いですよ♡」


自分で脱ぐという選択肢は存在しないようだ…。


「なら、陽葵さんからやるよ」


「お願い♡」


彼女の覚悟ができたみたいなので、ゆっくり脱がしていく。…裸はさっき見たのに、エロさの感じが違う。きっと“脱がす罪悪感”のせいかな。


「次はわたしですね♡」


陽菜さんも同様に脱がすものの、彼女は年下だから尚更罪悪感が大きい。でもその分、破壊力というかクセになる魔力を秘めてる気がする。


「最後は朝日君だね。上は脱ぎ終わってるから、下を脱がすよ。陽菜」


「わかった。せーのでやろうか」


2人の掛け声とともに、ボクのズボンと下着は脱がされる。


「何これ、快感♡」


「Hな遊びって感じだね♡」


全員裸になったので、本日2回目のお風呂に入り始める…。

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