三途の川管理人助手 元電話交換手の過去とお仕事 恨みを添えて

三途の川 電話交換手の過去 怨みを添えて

 私は今、三途の川の畔にいます。大勢の人々、もとい死人に囲まれておりました。そこを三途の川管理人さんに拾われ、今は手伝いをしております。これから語るのは、その理由でございます。まあ私も悪かったのですが、あいつらも嫌なやつらでございました。それを知っていただきたく。語らせていただきます。


 私は電話交換手でした。国際電話などでは欠かせない存在。電話をすると、私たち電話交換手が在中する交換局に繋がります。話を聞いて、誰に電話をかけたいかを聞き、希望の相手の電話に繋ぐ仕事でございました。

 ちょうど私が二十の頃、もう取り壊された廃病院に電話をすると、黄泉の国に繋がるんだ...とかいう都市伝説が流行り、それはもう大量に物好きが電話をかけまくったのです。まじで大慌て。思い出したくもございません。どいつもこいつも「あ、黄泉?黄泉?」「もしかして廃病院に繋がっちゃいます?」

 その時、私はブチ切れました。片っ端から三途の川の管理部書だったり、都市伝説の廃病院に送って+向こう側にも、生贄が来たぞと電話をかけて廃病院に呼んでやりましたよ。手が滑ってもっと恐ろしい寂れた駅舎の改札窓口に繋いでしまったこともありましたね。たのしかった。

 もちろん電話をかけてきたやつらは恐怖で染まり、トラウマや霊障、呪いで苦しんだ。帰って来れても全身麻痺で早逝したでしょうね。それがまた、噂となり人々が殺到。黄泉は黄泉で大量の死人がどこからともなく送られてきたり、呪いで塗れていたりと大騒ぎだったようでございます。つまり私はやらかした。大量の人々を黄泉に送ってしまった、殺してしまったのでございます。

 そして、月日はながれ私も病で死にました。すると、三途の川の向こう側から、私が黄泉に送ってやった死人が大量に待ち構えていました。つまり怨みを買いすぎたようなのです。死装束を着た者どもが呻き声をあげ、それでも私がやってきたことに悦び悶えておりました。ついにやってきたといつかいつかと待ちわびていたようでした。さすがに恐ろしかった。それだけではございません。黄泉の管理をしている部署の方々も最高に怒りに震えておられた。ああ、私はこれから大変な目に、それはそれは大変な目に会う、噂に聞く地獄よりも苦しい...と悟ったところで三途の川管理人さんが匿ってくださったのでございます。

 半永久的な時間が経ち、やつらの怨みも薄らいでいた頃、黄泉の管理部署の皆さまに謝罪参りをして、三途の川管理人として仕事をこなすことでお詫びとする。 そう決まりまして、今現在こちらにいます。三途の川管理人さんはなかなかにおもしろい方で、流れてきた目玉をコレクションしたり、ズラっと並べて恍惚としたりしております。


そして現在、そんな人生ならぬ死生を楽しむ方の元で、お仕事をしております。でも奴らが悪い。今度は私が怨む側でございますよ。みなさまもお気をつけなさいますよう。都市伝説にはご注意を。

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