動物たちと遊ぼう

寧寧

第1話 夢!?

「もう一匹死んだ。」イナは軽蔑的に鼻を鳴らし、背中に持っていた重剣を持ち上げて、自分に駆けつけてきた凶獣に向かって切りつけた。重剣は振り回した瞬間に剣紋が奇妙な青い光を放った。獣の悲鳴とともに、目の前にいた巨大な化け物は突然地面に倒れて生気を失った。

「私に勝てないとわかっているのに、また突っ込んできた。本当に馬鹿だなぁ。」イナは重剣を背後の鞘に戻しながらつぶやいた。「こんなに長い間登っていたのに、どうしてまだ頂上にたどり着けないの。速度を上げなければならないようだ。早く彼に会うために」そう言って、彼女は雲と霧の中に隠れた山頂を見上げた。

「ほう……」野獣の咆哮が彼女を現実に引き戻した。

「そんなことを考えてる場合じゃないよね。ちょうど今足が痛くなった。

あなたの真っ白でぬいぐるみみたいね。あなたに決めた!」イナは高さ3メートルを超える巨大な雪狼の攻撃を避けながら冗談を言った。

雪狼の鋭い巨爪がイナを叩きつけようとしたとき、イナは雪狼の下に潜り込み、上の雪狼の腹を思い切り撫でた。雪狼はなんとこの優しい攻撃に全く耐えられず、体を横に倒して真っ白な腹は丸見え、まるでイナに触ってほしいと言っている。イナはもちろん雪狼の意味を理解して、雪狼の腹に飛び乗って撫で始めた。雪狼は鋭い瞳を閉じ、四肢を広げ、舌を口から引き出し、心地よく低く吠えた。

「行こう、白、主を山頂まで連れて行きなさい」しばらく愛撫した後、イナが雪狼の腹から飛び降りて言った。

雪狼は大人しそうに寝返りをした。イナは喜んで雪狼の背中に飛び乗って、「白、出発しよう!」。

雪狼はとても速く走ってた。冷たい風が刃物のようにイナの顔に痛めつけた。イナは柔らかくて白い毛の中に自分の顔を埋めるしかなかった。 彼女は「自分の歩くよりずっと速い。もっと早く一匹を捕まったほうがいいのに」と感慨深げに思った。

途中で小さなモンスターが近づくと、敏感な感知力を持つイナに大きな剣で撃たれて気を失った。こうしてイナは順調に山頂に到着した。目の前に現れたのは巨大な城だった。城の中から出した魔力の威圧にイナは少し動悸がした。「焦りすぎた。さっきは白を止めて、もっと練習してレベルを上がるべきだった。ここにはラスボスが住んでいるかもしれない。しかし、彼に会うために。」そう思ってイナは剣を抜いて、しっかりと手に握りしめて城の門に向かって歩き出す。

そばにいる白はこの城の中のものをとても恐れているようで、体が震えている。

「白、ここに休んで。ついて行く必要はない。ここまでお疲れさまでした」イナ白に言いながら、白の毛を何度か愛撫した。

白は言うことを聞いて、地面に伏せて自分の主人が去るのを見送った。

イナが重い門を押し開いた。ドアからは、走っていた白の体に乗って経験した風よりも数百倍も冷たい陰風が吹き出して来た。イナは思わず震えて、手に持っていた重剣をさらにしっかりと握った。

城に入ると、後ろの巨大な扉が自動的に重く閉じ、城の柱のたいまつもう火がついた。

「こんな展開はもう古い!さっさと姿を現してくれ!」イナが叫んだ。

「ははは……愚かな女、ご主人様に会いたいなら、私を通しなければならない」低い声が城中に響き渡った。激しい大地の震えとともに、城の奥から巨大な竜が急速に飛んで来て、イナの前に落ちた。

「えっ……ここで私と戦う気?あなたの体は大きすぎ。軽く跳ぶと天井に穴が開いてしまう」 。イナは巨大な竜の顎を見上げて言った。目の前の竜の体はあまりにも大きいので、イナは彼の竜の顔さえ見えなかった。

「それは心配する必要はない。主人の姿に変身して汝と戦う」そう言うと、強い光がドラゴンを包み込んで巨大な光の球を形成した。光球が縮小するにつれて光の強度も徐々に減少していく。まず光球から現れたのはスーツパンツを着た2本の長い脚だった。そして現れたのは強くて丈夫な肩を持つ上半身。最後に、精緻な男の顔がイナの前に現した。

「か……かっこいい!」イナは目の前に現れた男をぼんやりと見つめながら、思わず口元のよだれを拭いた。

でも、イナはすぐに正気に戻した、なぜなら男の手に持っていた長剣が地面に大きな穴を開けたから。「どうして私が夢中になってしまったのか。面食いではないのに!きっとこの竜が何か魅惑の術を使った」イナは大剣を持ち上げて対戦の準備をした。

「オオオォォォ-!」イケメンは剣を上げてイナに向かって攻撃した。イナは攻撃を対応しながらそう思った「どうしよう。こいつめっちゃかっこいい。顔に傷つけるのはもったいない。お腹の完璧な腹筋を壊してももったいない。そして、あの長い足にも怪我をさせたくない」。

「愚かな女、なぜ避け続けて攻撃しない。」男の長剣の振り回しのスピードは明らかに速くなった。

「ふん、どんなにかっこよくても、あなたは変形したドラゴンに過ぎない。私を騙すことはできない」イナはようやく反撃を始めた。さすがボス(ラスボスではないが)。イナの攻撃はいつもこのドラゴンが変形した男に受け流した。

短気なイナはこのなかなか勝負がつかない戦いに飽きた。「竜殺を食らえ!」と大声で叫んだ。そう言って、刀を持ち上げて男の首に向かって横切ろうとした。 男はそれを見て慌ててしゃがんで攻撃をかわしたが、自分がすでにイナにだまされたのを知らなかった。

イナはひそかに喜んで、剣を振る代わりに足で男の股間に強く蹴った。

「ああ……」男はイナがこんなに卑劣だとは思わなかった。この一撃は急所に当たった。

「いいチャンスだ」イナはそのチャンスをつかんですぐに男の後ろに飛び出し、両手で大剣を上げて横面で男の後頭部を強く叩いた。男は倒れた。男は元の巨大な物に戻ると思っていたが、光の塊とともに、彼は意外にも蚊取り線香のような目をして、気を失った竜の赤ちゃんになった。

イナはこの竜の赤ちゃんがとてもかわいいと思って、腕の中に抱きしめて、城の奥へ歩き出した。

ようやく本殿に到着し、軽く押すと本殿の扉が開いた。殿堂の玉座に座っている男は、ドラゴンに化身した男とそっくりだが、今はヨーロッパ式の国王の礼衣を着て、輝かしい宝石がはめ込まれた王冠をかぶっていた。装いは華やかだが、男性の美貌の1000分の1には及ばない。

「やっと会えた」イナはドラゴンの赤ちゃん抱いて目の前の男を見て、「結婚しよう」。

「イナちゃん、ここまでやってきて大変だったね。でも私たちは一緒にいられない。」

「どうして!」イナは怒って叫んだ。大声で胸の中で失神していた竜赤ちゃんを目覚めたが、竜赤ちゃんもイナの怒りを恐れているようで、また眠ったふりをした。

「……ずっと昔から小柄な女性が好みなんだ」

「いや……」悲鳴とともに、イナは夢から目を覚ました。腕の中の竜の抱き枕はすでに彼女に蹂躙されて形を変えていた。

「また寝言を言っている、早く起きて朝食を食べなさい」部屋の外からイナのお兄さんの声が来た。

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