第6話

初めは緊張したけど、楽しかった。六月にはホームルーム合宿っていうのに行くのがこの学校の恒例行事らしい。

「八千代ちゃんって琥珀くんと悠陽くんと兄妹なの?」

「え、、、どうしたの?川口さん」

同じクラスの『川口瑠々るる』さんが前触れもなく聞いてきた。

「良ければ、、、『貴公子見守り部』に入ってくれない?」

貴公子?見守り?

聞いたことのない部活だ。少なくとも、昨日の入学式で渡された部活動一覧にはそんな部活はなかった。

「入学式で琥珀くんと悠陽くんを見た瞬間、私は直感したの!あの二人は貴公子!と、、、。それで同じ考えを持つ子達と集まって部活を作ろうとしたんだけど、、、」

「正式な部活を作るには部員を五人以上集めないけなくて、、、」

川口さんの隣にいる子は『神宮寺麗奈』さん。川口さんと同じく貴公子見守り部に所属する人らしい。



「貴公子見守り部、、、面白い名前だね〜」

「あー、、、なんか女子がそんなこと言ってたな」

「悠先生に言って良い?面白いし」

「良いよ〜」

適当な大きさの正方形の紙に今日あった出来事を書き、その紙を折り鶴にする。ちゃんと羽も広げて。

そして術をかけ、飛ばす。

羽ばたいた折り鶴はまっすぐ、遠くの方へ飛んでいった。

「相変わらず得意だよな〜。伝達鶴でんたつづるの術」

「まずオレ達は鶴を折れないけどね〜」

伝達鶴の術は、手紙を折り鶴にし、目的の人まで飛ばす術。目的の人の手元まで飛んだら手紙に戻る。

「何処かの誰かさんは鶴を折ったら数メートルしか飛ばなかったよね〜」

悠陽は少し笑いながら琥珀に悪態をつく。

「そういう悠陽はそもそも折れなかっただろ」

「、、、」

正論を言われて目を逸らす悠陽。

「伝達鶴の術は巻物のに載ってたよ?ついでに折り方も」

「その授業の時、サボりまくってた、、、」

「皐月先生に納屋の掃除させられてなかった?」

「下級生の時な」

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