第4話
一ヶ月が経ち、ついにこの日がやって来た。
空は里を出るのを祝福するような快晴ぶりで、只今、悠先生に泣きついてます。
「うわぁぁん!嫌だ〜、、、やっぱり里にいるぅぅ。だって、外に出たら、、、出たら、、、」
「八千代、、、」
足にしがみつく私を見て優しい
級友達はやれやれという様子。少しは悲しんでほしいものだ。
「里帰りするまでアケビが食べられないぃぃ!!」
「、、、はぁ、、、」
先生は額を指で摘み、ため息をついた。
「ほら行け、琥珀と悠陽が呆れたような目で見てる」
「無理、、、」
悠先生は下級生の担任である皐月先生と話していると思ったら急に悠先生が手を叩いた。
その音を耳にした瞬間、私と琥珀と悠陽は知らない場所にいた。否、正確には知らない部屋にだ。
十七畳程ある床に白い壁、近くには高い机と椅子。
ふと足元に落ちていた手紙を琥珀が読み上げる。
「えー、なになに、、、『お前達が三年間暮らす家に術で送った。学び舎の手続きはもう済んであるから好きにすれば良い。但し、金銭については此方の方で払っておく。遊びにうつつを抜かし過ぎないように』だって」
「遊びにうつつを〜って悠先生の口癖?」
「多分ね〜」
窓の外を見ると道行く人々が見えた。そして動く鉄の塊も、、、。
「 、、、、、、」
驚いて言葉を失った。
「うわ〜、、、里と全然違うね〜」
「だよな、、、」
ブルルル、ガー。
「、、、、、、」
鉄の塊が目の前の道を通っていく。
「ママー、あれなーに?忍者さんみたいな格好だよー?」
「え、シー。見ちゃいけません」
私達を見て不思議そうな子供と子供の手を引っ張って私達と目を合わせない『ママ』と呼ばれた女性。
「目立つな、、、」
「まぁ、周りと違うからね〜」
私は淡い桃色の袖が左だけない丈の短い着物に山吹色の帯、そして膝上まである黒色の足袋(指は出ている)に、頭には鈴をぶら下げた着物と同じ色のヘアバンドと呼ばれる物(皐月先生が言っていた)に黒色の首巻。
琥珀は緑色の肘上までの袖の着物に黒色の
悠陽は
そんな格好をしていれば洋装だらけの外の世界じゃ変な目で見られるのは理解出来る。里では形など違くてもみんな和装だった。
「外の世界に溶け込むの、、、思ったより難しいね」
「だよね〜」
「、、、明日は高校の入学式だったけど、帰って良い?」
「賛成!」
「気持ちは分かるけど、八千代も琥珀も帰らないで!?」
「おい、悠陽が真面目なこと言ったぞ、、、」
「明日、嵐でもくるのかな?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます