セッ◯スすると爪が紅くなる
華川とうふ
第1話 赤い爪の幼馴染
「ねえ、今日爪赤くない? 服装検査大丈夫?」
俺が初めて幼馴染を怒らせたときのことだである。
彼女の名前をネットに書き込むのは抵抗があるので仮にユキとしておこう。
幼馴染のユキは俺が急に顔を真っ赤にして、うつむいた。
俺が指摘した爪については、こぶしを握り締めて人から見得ないように必死に隠してもいた。
最初はそのこぶしをみて、俺は殴られるのかもしれないと思った。
昔のラノベでは暴力系ヒロインというものが流行っていたから。
ギャグテイストのラノベならば、俺は間違いなく教室の窓から校庭までぶっ飛ばされていたところだろう。
だけれど、俺の幼馴染はただうつむいて返事もしなかった。
校則の厳しい学校だったから、服装検査のことをしてきしてあげた俺に一言お礼くらい言ってもいいと思うのだが。
幼馴染のユキはただ、うつむいて「ばか……」とだけ言ってその場を走り去っていった。
そんな反応は初めてだったので驚いたと同時になぜだか胸がざわざわした。
赤らめた頬に潤んだ瞳。
今、思い出してみるとあれは泣き出す直前だったように思える。
だけれど、俺はあのとき彼女の涙を見ていない。
だって、ユキはそのまま教室を飛び出していってしまったから。
ユキはそのまま保健室かどこかに行って教室に戻ることはなかった。
無事に服装検査をすり抜けることができたのには安堵した。
真面目な彼女が教師から強く指摘を受けたらきっと耐えられないだろうと思っていたから。
だけれど、彼女が走りさってしまった理由をしった今ではとても後悔している。
どうしてあんなことを言ってしまったのだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます