関係者インタビュー:「団地」
…あの子たち、何か勘違いしているみたいで。
テーマが『
この団地近くの公園で撮影をしていて。
まあ、通報も何件かあったんですよ。
それこそ、ネットで掲示板が出来るくらい。
でも、違うんです。
ここで起きているのは全く別の問題で。
…見たことあります?
深夜に団地で泣いている子ども。
ええ、ウチの子と同じくらいの年で。
その子がね、隣のベランダにいたんです。
…でもどこか、普通の子どもとも違う。
身体中、赤茶けた色をして。
土みたいにひび割れて、一部が崩れかけている。
来るときにはツーンとした。
サビというか、土の匂いがして。
それが赤子のような泣き声を上げているんです。
隣の子は中学生で。
外にいる子とも関係が無いみたいで。
…ああ、そうです。
部屋は六階でした。
仕切りもあるし、隙間も狭い。
どうやって入り込んだものか見当もつきません。
そんな世帯がいくつもあれば、引っ越しくらいは考えますよね?
私もそうです。
この春、近くのアパートに三人で移りました。
…正直、困っていたんですよ。
噂だと、大人ほどの人影も目撃されたそうで。
でも、私も見ちゃったんですよね。
ここに撮影しに来た子たち。
その中の一人に何かあったみたいで。
そういえば、あの子たちがテーマに関係ない場所に行く映像もありますよね?
赤土の見える、裏山に行くシーン。
…あ、まだ動画も残っていますか?
そうそう。前後でずいぶんと違うでしょ。
何で、誰も気がついていないのでしょうか?
知らず知らずのうちにと思うと。
こちらも怖くなってしまって。
だからなんですよね。
団地からアパートに移ったのも。
…ああ、もうこんな時間。
子連れで深夜に出歩くものではないですね。
ほら、帰りますよ。
団地で、お父さんが待っていますから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます