茲音ちゃんはミステイクな出来事で俺の彼女になった。
猫野 尻尾
第1話:俺の知らないふたりの女。
「風営法」ってのがある。
正式名称は「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」
「風営法」はその略称。
その風営法が厳しくなって、今はおよそ風俗と呼ばれる商売に人間の女性は
ほぼ携わっていない・・・闇風俗以外表面上では・・・。
公には人間に変わってガイノイド「セクサロイド」がその代わりを務めている。
ガイノイドの中でもセクサロイドはセックスができるよう生殖機能が備わって
いて、そのテクニックは人間の女性よりはるかに優れている。
そもそもアンドロイドやガイノイドと言ったヒューマノイドは人間の代わりに
作られた存在だから人道的に問題のある商売は彼ら彼女たちが従事していた。
そう言った商売以外にもガイノイドは一般販売もされていて、アキバハラ
あたりに行くとガイノイドの可愛いモデルさんがショップに展示されていて、
いい目の保養になっている。
購入時はその子達の顔を自分の好みの顔にセットできるようになっている。
つまり人間の女性より理想的タイプの子が手に入るのだ。
俺も何度か店を覗いたことがある。
でもガイノイドなんて値段が高くて買えるわけもなく・・・パンフだけ貰って
帰った。
基本的にガイノイドは普通のサラリーマンが手を出すにはフェラーリを買う
くらい高値の花だった。
まあ、がんばれば買えないこともないけど、多額な借金を背負う羽目になるから
おいそれとは手を出せない。
だから俺はエッチがしたくなったら欲求を満たすために風俗に通う。
そこならセクサロイド相手に合法的にエッチができるからね・・・。
俺の名前は「
歳は23歳・・・都内の編集者にお世話になっている。
風俗のガイノイドの女の子は、めちゃ優しくて至れり尽くせりで俺に癒しを
くれる・・・まるで俺の彼女かよって思うくらい。
まあ、来る客みんなにそうなんだろうけど・・・。
そうなんだよ、なまじ人間の女の子なんか彼女に持ったら、すぐに感情的に
なって、どうでもいいようなことで揉めて結局別れる羽目になる。
それなら人間の男子に対して優しくしてくれるよう作られてるガイノイドを
彼女に持てたらベストなんじゃないかって・・・買えもしないのに漠然と
考えていた・・・。
ある日、編集社へ顔を出した時「おまえには言われたくないわ」ってくらいの
ブス女に、
「今時、彼女の一人や二人いないなんて男としてどうなの?」
って言われて男のプライドを傷つけらて以来俺はなんとしても彼女が欲しくなった。
だから、いっそレンタル彼女でも頼もうかとさえ真剣に考えた。
だけど擬似的彼女ってのもな、まじな俺の彼女じゃないし、ましてや俺だけじゃ
なく他の男のところでも笑顔を振りまいてるって・・・それは浮気されてるみたい
で許せない・・・。
そんな折、編集者の飲み会に誘われた俺は、いい気分で泥酔してしまって、
どうやって自分のアパートに帰って来たか、ぜんぜん覚えていなかった。
気がつくと次の朝、俺のベッドの上で目覚めた。
そしてその日の昼前のこと、俺の独り住いの安アパートに女性がふたり訪ねてきた。
前にいた女性は歳の頃なら40前後か・・・。
そしてその中年女性に隠れるように覗くように俺に顔を見せた女性。
歳は未成年、もしくは20くらいか。
前の女性は別として、俺は後ろの子を一目見てめちゃ自分のタイプだと思った。
でも会ったこともないし知らない女の子。
だけど、それはたしかに間違いなく俺のタイプだったんだ。
つづく。
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