花の盗賊たち

@joahua2016

第1話分類大会×花×タイプ




「アールス、本当に道を間違えてない?どう見ても普通のバーにしか見えないんだけど?」

アイランは疑わしげな口調で問いかけた。

「どうだか?カブトムシが送ってきた住所はここだったぞ!」

二人は目の前のバーに困惑しながら、店内から楽しそうな歌声やおしゃべりの声が聞こえてきた。

「とりあえず入ってみよう。もし間違えたら、俺にご飯をおごってくれよ。」

「やだよ……」

二人はバーに入ると、店内の暖かくて居心地の良い照明に、気分が明るくなった。この時、店主はアールスとアイランが目の前に立っているのを見て、優しい笑顔を浮かべた。

「お二人はカブトムシのお客様ですか?」

「はい!カブトムシ限定のソーダを二杯お願いします。」

二人はそれが合言葉だと気づき、すぐに声を揃えて返答した。

「こちらへどうぞ。」

店主は微笑みながら二人をカウンターの後ろの空間へ案内した。

「ここに立ってください。」

店主は二人を白い塗料で線が描かれた円形の区域に立つよう指示した。二人は指示通りその円形の空間に立った。

「お二人が好きな花を見つけられますように!」

店主は二人が区域に立つと、指を鳴らした。指を鳴らすと、金色の花粉が飛び出し、二人は瞬間的に下に落ち始めた。突然の落下にアールスとアイランは驚いて叫んだが、気づけば安全に「分類会」の会場に降り立っていた。

「絶対にマホウカ協会の老人たちに言って、こんな派手な分類会の入口はやめさせなきゃ……」アイランはまだ心臓がドキドキしているようで文句を言った。

「派手でも悪くないんじゃない?結構楽しかったし!」

アールスは明らかにまだ余韻に浸っていた。

「二人の若者よ、分類会へようこそ!種子を見せてください。」

背中にライラックが描かれた淡紫色のマントを着た男が二人に近づいてきた。男は長い巻き髪で、背が高い。

二人は互いに目を合わせ、ポケットから種子を取り出して男に見せた。

「うん……立派な種子だね!楽しんでいってください。」

種子を確認した後、男は二人を「分類」会場に案内した。

「アールス……あれは花の幹部か?」

「うん……今回のスタッフは『ライラック』が担当しているって聞いた。」

二人は小声で話しながら会場に入った。

会場に入ると、二人は「分類」されるのを待つ少年少女たちの群れを見た。彼らは「分類盆栽」を囲んでいた。

「分類盆栽」は小さな石柱の上に置かれている。

「アイラン……あれが分類盆栽か?」

「そうだよ!あれは『花選定者』である僕たちを分類するための分類盆栽なんだ。後で僕たちは種子を土に埋め、両手を盆栽の両側に置くんだ。そうすれば、僕たちに合った花が咲くんだ!」

アイランは花について非常に詳しかった。彼は幼い頃から花に興味があり、そのすべてを知りたくて多くの時間を費やしてきた。一方で、アールスは花についてほとんど知識がなかった。

「アイラン、だから花って一体何なんだ?」

「分類の日なのにまだ知らないのか?この国では、花は組織のようなもので、組織の行動スタイルやメンバーの性格は花言葉と関連しているんだ。例えば、喜びを表すサイネリアや高貴を表すモクレンは、どちらも一定の名声を持つ花だ。」

アイランは丁寧にアールスに説明したが、アールスは頭が混乱しているようだった。

周りの声がだんだんと騒がしくなり、分類会がもうすぐ始まることを示していた。他の少年少女たちも次々と会場に入ってきた。


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