課題 書斎

書斎の片隅には、手作りの整理戸棚が静かに佇んでいた。そこに残された手紙の束にそっと手を伸ばすと、比較的新しい封筒が一つ、目に留まる。封筒はまだ切られておらず、切手も無傷で、鮮やかな色が今もそのまま残っている。彼女は部屋の照明をつけ、慎重にその手紙をデスクへと運んだ。封筒の表面には、細かい紙の繊維が複雑に絡み合い、不思議な模様を描いているのが見える。気にせず封を切ると、内側には洋風の便箋が入っており、その上に正確にタイプされた文字が整然と並んでいた。タイプライターの印字は美しく、便箋に浮かび上がる文字は、まるで静かに囁くように語りかけてくるかのようだった。手紙は3枚の便箋で構成され、すべての文字が黒で印字されている。彼女の目が、ゆっくりと文章を追っていくたびに、言葉の波が心にそっと打ち寄せる。便箋をめくるとき、紙が微かに立てる音が、彼女の心の中の静かな波動を反映しているかのようだった。


手紙を読んでいる間、彼女はある感情に支配されていた。いや、囚われていたと言えるかもしれない。愛されたいという自分と、愛したいという自分に気づいたのだ。それは手紙の封を切る前から心の中に潜んでいたものだが、彼女がそれを明確に意識したのは、手紙の文面から与えられた温かな新しい感情によるものだったのかもしれない。彼女の意志は、読み進めるごとに確実に固まっていくようで、内なる熱を帯び始めた。その真剣な横顔には、強い決意が宿っている。彼女は封筒と便箋をリュックサックにしまい、それを肩にかけて静かに家を出た。

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