白露集

鷹枕可

第一章:敗戦忌


自決を遂げた少年の

血が蟠っていた


没落へつづく青年の

愛が充ち渇いていた


夕――死者がさわがしくなる刻限だ


誰も俺の名前を知らない

俺を

捜している輩は五万といる


夏草・秋草・冬草・春草

花鳥風月・宿命不在


わが身をいづる闇いづれ

白七草のなきがらとも見ゆ


誓言――汝、刃を打ち交し

われを吾すべし


深間へ到る途上へと転がりいでたる

貴様の貌を


ゆめ忘るべからず !


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