イレギュラーから始まるポンコツハンター 〜Fランクハンターが英雄を目指したら〜

第42話 ダンジョン踏破の始まり

　火曜日には、俺たちは「自動後退」というカー用品店に行き、スルメイラ用にフルフェイスのヘルメットを買った。

　友理奈の護衛役を務めるための安全対策ではなく、スルメイラの心の安寧のためだ。

　フェイス部分か開くから、半透明で近くから見たら顔がよく分かるのを伏せられる。単純なやつなので顔がまともに見えるなんて未だに気が付いていない。

　いずれバラしてやろう。

　買い物の後に話し合った結果、俺と友理奈は水曜日からほぼ毎日ダンジョンに挑戦することにした。

　そして木曜日は探索活動を休みにして、無理せずに活動することを優先しつつ、俺たちは他のハンターがほとんど試みない【ダンジョン完全制覇】を計画している。

　すなわち全ての階層を徒歩で踏破し、全てのフロアボスを撃破するという挑戦を始めた。

　初日はまず1階層から始め、奥へと歩みを進める。ビッグラットやピグミーバットが徘徊するエリアを慎重に進んでいく。階段から階段へと渡り歩くので、魔物との戦闘をこなしながら1階層を踏破した。2階層へ到達すると転移板を使って入り口に戻り、初日の探索を無事に終えた。

　これまで1階層の魔物を相手にするのにも命がけだったが、まるで羽虫を叩き潰すかのようなほど簡単に倒していて、いままでの苦労は何だったのか?と思ったりする？

　翌日の水曜、2階層を本格的に進むことになった。この階層では「大蝙蝠」や「メタボキャット」と呼ばれる、油断ならない魔物が現れる。特にメタボキャットはその巨体からは想像もできない俊敏な動きを見せ、俺たちを何度も翻弄したが、なんとか撃破しながら進むことができた。

　3階層に入ると、魔物はさらに強力になる。この階層では「ボア」、巨大な猪型の魔物が頻繁に出現する。重い突進攻撃は強烈だが、俺たちは息を合わせて動き、確実にその動きを封じていった。魔物の数が増え、次々に襲いかかってくる中でも、俺たちは冷静に対処し、3階層の踏破を目指した。

　3階層の中盤を過ぎたあたりで、友理奈が突然立ち止まった。

「銀治……雷撃スキルが上がったみたい……」

　彼女は驚いたように手のひらを見つめていた。魔力の感覚が変わったのだろう。初めて雷撃を放ったときから、彼女の成長が着実に進んでいた。

「すごいじゃないか！これでさらに強くなったな」

　俺は彼女を励ましながら、心の中でほっとしていた。友理奈の成長は、パーティー全体の戦力アップに繋がる。

「でも……まだ怖いよ……」

「大丈夫、俺がついてる。安心して」

　俺は彼女を安心させ、二人で再び歩を進めることにした。

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　3階層の最後に待ち構えていたのは、フロアボスの「シャドウゴブリン」だった。黒い影のような姿をしたこのゴブリンは、瞬間移動のように姿を消し、背後から攻撃を仕掛けてくる厄介な相手だ。だが、友理奈の雷撃がその影を貫き、ゴブリンの動きを止めると、俺は一気に突撃してとどめを刺すことができた。

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　無事に3階層を踏破し、次は4階層へと足を踏み入れることにした。4階層以降の魔物については未知の領域だったが、俺たちはこのまま進み、次のフロアボスを撃破して、最終的にはダンジョン完全制覇を目指すつもりだ。

「ここまで来たら、5階層の転移板を目指そうか」

　俺は友理奈に提案し、彼女も頷いた。体力の消耗は感じていたが、まだ進むことはできる。

　だが、5階層への道はさらに険しくなり、俺たちの前に次々と新たな強敵が立ちはだかるのだった。