第2話



 「寒ッ…!」



 彼女がいる部屋、「クーラールーム」は、知り合いの博士に作ってもらった特設仕様の部屋で、「雪女」としての彼女が快適に過ごすための部屋となっていた。


 部屋全体の空調システムを改造し、室内温度がマイナス18度まで設定できるようになっているため、人が過ごすにしてはあまりにも寒すぎる。


 そして、電気代がバカ高い。


 一学生のバイト代だけでは到底まかないきれないほどの金額が毎月のしかかってきているのだが、とくにこの夏は、空調システムがイカれてしまうくらいの暑さだった。


 外の日差しとか空気とかがほんの少しでも入ってしまうと、余裕で温度が上昇してしまう事態に…



 ということで、クーラールームには窓もないし、隙間風が入るような場所は無い。


 おかげで巨大な冷凍庫のように空間全部が冷え切っており、裸足で歩けば凍傷が起こってしまうほどだった。


 彼女からすればマイナス18度でも全然“足りない”んだとか。


 元々極寒に住んでいる妖魔だから、寒ければ寒いほど快適だそうで。


 そうは言っても、これ以上は設備的に難しいし、何より電気代が…



 彼女にもできれば節約気味にしてほしいとお願いしてる。


 室内温度がマイナスにさえなっていれば、“一応は”過ごせる環境にあるらしい。


 マイナス2度くらいあたりから「猛暑」らしくて、できればマイナス10度くらいが良いそうだった。



 …はあ、幸先が思いやられる。



 今月は2万くらいかな…?



 夏休みに入ったらできるだけバイトのシフトを入れてかないと、まともな食事にすらありつけなくなる可能性が…


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る