学園イチのイケメンくんに甘く溺愛されてます⁉
ほしレモン
Chapter1 イケメン男子たちとの出会い
第1話 ようこそ、神楽学園へ
「よし、準備はいいか、な……?」
鳥の模様が
うん。いい感じ!
初日からやらかすなんてしたくないもん。
いつもおろしている髪を、今日は少し高い位置で結んで、バックを持つ。
「あっ、時間かな? 早めに出ておこう……」
ガチャリ、とまだ慣れないドアノブを握って外に出る。
「うわぁぁあっ……」
目の前には、大きな大きな、学園——
こ、こんなすごいところの生徒になったんだよね……わたし。
すごいっていうのは、まずこの神楽学園が国内トップクラスのエリートたちが集まった学園ってこと。
あと、この学園には寮制度っていうものが存在すること。
今出てきた部屋も一応わたしの寮。
昨日のうちに荷物とか、過ごすために必要なものを持ってきたんだ。
でも、初めて昨日、寮に入ったからまだ寮のシステムがわかっていないんだよね。
それはこの後の入学式で説明があるんだと思うけど……。
「行ってきます」
その声に返ってくる声はなかったけど、わたしは1歩踏み出す。
わたし――
・・━━・・━━・・━━・・━━・・━━・・━━・・
「朝比奈さん、寮のナンバーは?」
「ええっと、101、です」
「101……」
覚えやすいナンバーでよかったー……じゃなくって!
なんでわたしは今止められているの……っ?
目の前にいる先生らしき人に、わたしは縮こまりながらそおっと目線を上げる。
さっき、校門をくぐろうとしたら生徒手帳と寮のナンバーを聞かれて……。
何かやらかしたかなぁ……。
周りを見れば、みんなササッと入っていっちゃうんだもん。
わたし、なんも心当たりないですよー……。
「あのね、朝比奈さん」
「ハイ……何でしょうか……?」
「寮の鍵は閉めた? 101号室だけ鍵のロックがかかっていないのだけど」
「へっ……? 鍵……?」
鍵……??
「鍵っ!」
そうそう、昨日の帰り、鍵なくしちゃって……。
ずっと探して、今日はなんか探す暇がなかったというか……。
「まさかなくしたとか言わないでしょうね。あの鍵は本当に特別なもので、すぐに発行するのは難しいの。寮制度があるんだから、そういうのもちゃんとしてほしいのだけど」
「……すみませんでした」
ウウッ、なんで初日から怒られてるんだろ?
周りの人たちも全員変な目で見てるってーっ!
ううう、肩身が狭いです……。
「で、どうするつもり?」と冷たーい瞳に見つめられてわたしはピタリと動きを止める。
朝比奈乃彩、初日から絶体絶命です――!!??
「あのーお取込み中にすいません、オレ、今年からこの学園の生徒になった
「朔人、ナンパはするなよ」
「
だっ、誰っ⁉ そしてナンパってどういうコトっ⁉
その声に振り向くと、そこにはナゾの茶髪男子くんがいた。
朔人って言ってたような……?
で、その後ろには、蒼良と呼ばれた黒髪イケメンくん。
いつの間にか隣に入ってきた茶髪の男子くんが、にっこりスマイルで「証拠はコレね」と言って生徒手帳を広げている。
「で、八雲さんがどうしたの? 何か用があるなら別の職員に――」
「あっ、先生じゃなくて、朝比奈ちゃんに用事があってー」
「え?」
え?
え⁉
わっ、わたしっ――っ!!??
というかなぜ! わたしの名前が⁉
ごめんなさい、何かしたなら謝りますーっ!
こんなイケメン2人組に目をつけられるなんてわたしはいったい何をしたんだろう?
あっ、なんかやらかしたから名前も公表されてたり?
「ああああの、わたしに何の用が……」
「はい、これ、探してたやつだよね?」
そう言ってわたしの前に出してきたのは、まぎれもなく!
「そっ、それわたしの鍵、ではっ?? どどどどうしてあなたが……」
「あ~オレのことは朔人でいいから。さ・く・と」
「そ、それは知ってるんですけど!?」
よく分からない!
でも悪い人じゃなさそうだし……ええと、ここはひとまず。
「あの、と、とにかくありがとうございます……! ええと、朔人さん? と、お友達の方も!」
そう言って、ガバッと頭を下げる。
お母さんに、挨拶はしっかりしなさいって言われたんだった!
「俺は何にもしてないが」
「確かに。見つけたのはオレだけどねー。ま、あってよかったね」
「あっ、ハイ! 朔人さんのおかげです!」
元気よく返事をして隣を見るとあっけにとられた表情の先生がいた。
「それ、本当に朝比奈さんのものなのね? それなら早く行きなさい。遅れてはいけないですよ」
「では! 失礼します!」
深く頭を下げて、わたしはそのイケメンさん2人組を通り越して玄関に急ぐ――。
じゃない!
「あの、お名前をうかがっても……。このお礼を……」
「やだな、そんなのいいのに。というかー、お礼って何してくれんの? 一緒にデートする?」
「でででデートっ⁉? そ、そんなわけ……」
あははと笑っている朔人さん。
これは絶対にからかわれている……!!!
どう扱えばいいか分からない……!
「困ってるのもかわいいね」と言ってくる朔人さんに、カーッと顔が熱くなる。
めっちゃ優しい人だと思ったら!
なに、この人!!
めちゃめちゃチャラ男……!!
うーっと声にならない声を出していると、わたしたちの様子を見かねた黒髪イケメンくんがつぶやいた。
「……
「え?」
「俺の名前。
「あっ、神楽くんって言うんですね。これからお願いします……!」
わたしは改めてペコリとお辞儀をする。
神楽……? 学園名と同じだ……!
そしてハッと目線を上げると、目に入ったのは青いネクタイ。1学年のカラーって……青色!
「同学年なんですね! それならなおさらこれからよろしくお願いします!」
「えーなに、オレたちのこと覚えててくれんの?」
「やっ、別にそういうわけじゃないですけど……っ」
もーなんかやだ!
苦手なタイプだ……。
わたしは腕時計を見てギクッと肩をこわばらせる。
いつも10分前行動してって言われていたのに……!
わたしはまだ笑っている二人に「では!」と言って小走りで玄関に向かう。
「久しぶりにおもしろいの見つけたかも。朝比奈ちゃん、だっけ」
「どうせまた途中でやっぱり違うってなるんじゃないのか」
「いやーどーだろーね?」
通り過ぎるときに、何かを言われたと思ったんだけど、聞き間違い?
わたしは早足でお城のような玄関に足を踏み入れた。
――ドキドキマックスな学校生活が始まるとも、知らずに。
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