第2話

結局、私たちはもう一度眠りに落ちた。


次に目を覚ましたとき、湊さんの優しい視線が私に注がれていた。


湊さんは肘をついて、愛おしそうに私を見守っている。


「おはよう、彩花」

湊さんが微笑む。


その笑顔を見た瞬間、私は恥ずかしくなって布団で顔を隠した。


「湊さん、いつから見てたの?」

と布団の中から小さな声で尋ねる。


「んー?内緒」

と湊さんがまた微笑む。


その微笑みはまるで太陽の光のように温かく、私の心を溶かしていく。


湊さんの笑顔が頭に浮かび、心が温かくなる。


私はさらに顔を赤くして布団の中に潜り込む。


「もう、恥ずかしいよ」


と私は布団の中でつぶやく。


湊さんはよく笑ってくれるようになった。


元々凄くかっこいいけど、笑った顔はまだ見慣れないせいか、異常にドキドキしてしまう。


「そんなに恥ずかしがらなくてもいいのに。彩花の寝顔、すごく可愛かったよ」

と湊さんが優しく言う。


「もう、湊さんったら…」

と私は布団から顔を出し、彼の優しい瞳を見つめる。


湊さんはその瞬間、私の額に優しくキスをした。


そのキスに、私は一瞬驚いて目を見開き、すぐに顔が赤くなった。


「何度キスしても慣れないんだね」

「な、慣れないよ」

と私は照れくさそうに答える。


湊さんは優しく微笑みながら、私の手をそっと握った。


「それが彩花の可愛いところだけどね」


その言葉に、湊さんの手の温もりに、私はさらに顔が赤くなった。


「今日は家でゆっくりする?」

と湊さんが提案する。


「そうだね。今日は二人でのんびり過ごしたいな」


私たちはベッドから起き上がり、リビングに移動した。


私たちはソファに座り、湊さんがキッチンでコーヒーを淹れてくれる。


湊さんがカップを持って戻ってきて、

「どうぞ」

私の前にそっと差し出してくれた。


「ありがとう、湊さん」

と私は微笑んでカップを受け取る。


「どういたしまして」


私はその香りを楽しみながら一口飲んだ。

「美味しい」


「それはよかった。最近、仕事が忙しくて。夜遅くに帰ってくることが多かったから、彩花のこと構ってあげられなくてごめんね」

と湊さんが申し訳なさそうに言う。


「いいよ。こうして湊さんの傍にいられるならそれでいい。こうして、一緒に過ごせる時間が本当に幸せなの」


「彩花、ありがとう」


寂しくないって言ったら嘘になる。


だけど、



どれだけ遅くなっても、ちゃんと家に帰ってきてさえくれれば。



それ以上は望んだりしない。



湊さんのそばにいられるなら、






私は別に二番目でも構わない。







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