スキルコピーで密かに成り上がる!

じょお

その1

──スキル狩り?──


 ふと気がつくと、俺は見知らぬ場所に立っていた。そして目の前の男がこう言った。


「お前らのスキルの数と中身を教えろ」


と。


(一体何を……)


 俺は普通の人間だ……ゲームじゃあるまいし……と考えてたが、他の人たちは少し考えた後、目の前に何も無いのに、如何にもそれを見ながら答えている。


(一体何を……む?)


カシャッ!


 と、音は鳴ってないが、そんな擬音が似合っている感じで目前に半透明な小窓が現れる。


「な……これは一体!?」


 思わず、思わず小声でだが叫んでしまった。そこで背中をド突かれ……


「ステータスが見えたならさっさと言え……お前のスキルの数と中身をな?」


 見た目、山賊にしか見えない男は面倒そうに睨み、俺は言われるが儘に答えるしかなかった……


◆◇◆


(何がゴミスキルだよ……)


 それから数も最低だって言われた。0や1よりはマシだろって……


 ちなみに所有スキル数は2で、スキル名は「スキルコピー」と「」だ。


 スキルコピーは同一レベルのスキルを「劣化コピー」して「1回だけ」行使できると言った内容らしい。


 「」はその、なんだ……コピーしたスキルを入れる為の枠で、特に何かスキルを覚えて記録する枠……というものでもないらしい。


 で、現在スキルレベルは1で、どうやって覚えるのかも……いや、コピーするのかもわからない訳だが……


「それより、此処って何処なんだ?」


 まずはそこだよな……日本じゃないのか? 俺は近くに居た女性に訊く事にした。


◆◇◆


「あの……すみません」


 全く知らない異性に話し掛けるとかコミュ能力が低い俺には難易度が高いミッションだが、なるべく丁寧を心掛けて話し掛ける。


「あ……はい。何でしょうか?」


 先程、スキル数が少ないとかゴミスキルだとかで散々馬鹿にされてたので……少し怖かった。この女性もそんな目で見下して蔑んだ目で見やしないかと……


「あの……此処は「日本」……ではないのでしょうか?」


 流石に「地球」ではないのか?……とは突飛過ぎて訊けなかった。先程の山賊みたいな格好した男も、目前の女性も、中世ヨーロッパの衣装っぽいし。なんなら●ーロッパの可能性が微レ存?


「いえ、「ニホン」という村の名前は聞いた事はありませんが……」


 村と来たか。そりゃ、まぁ……山の中だし町も無さそうだよなぁーー……


「そ、そうですか……どうやって帰ればいいんだろう?」


 この辺では召喚魔法?……での人攫いとか日常茶飯事なのか?……傍迷惑な。と思ったら、


「宜しければうちの村に寄って行きませんか?」


 との有り難い申し出が!


「い、いいんですかっ!?」


「はい……この辺の道に慣れてますし、宜しければ!」


 と言う訳で、村娘然としたイリスさんの村……チュウフク村に厄介になる、この俺「技複製(コピースキル)」使いこと、「小尾 士技(おび しわざ)」……家名が付くと面倒そうなので、シワザ……も言い辛いか?……なら「シギ」とでも名乗っておこうか……と言うことにした。


 尚、先程の連中は「スキルテイカー」と呼ばれており、レベルが高いスキルを勝手にコピーして行くのだとか……俺のスキルコピーは初期レベルの1で、とてもじゃないが同レベルのスキルすら複製は無理じゃないかな?……って話だった。


「そうなんだ……」


 物は試しと、イリスのスキルをコピーしてもいいか訊いてから、スキルコピーを試してみた。


 レベル1では選択肢が出ずに、ランダムにコピーするようだ……


(スキルコピー)


 無詠唱でスキル名を頭の中で唱える。


〈体力上昇(小)パッシブスキルをコピーしました〉


「え?」


「どうしたの?」


「あのさ……」


「うん?」


 前を歩いていたイリスが振り向く。


「体力上昇(小)パッシブスキル……って、覚えてる?」


「あ……れ? あたし、そのスキル名、言ったっけ?」


 聞いてない為、シギは頭を振る。


「うっそぉーー……幾らランダムでも、レベチのスキルはコピーされない筈なのにっ!?」


 ちなみに彼女の「体力上昇(小)」はレベル3らしい……確かに使い熟したスキルらしく、チョットだけ不貞腐れた彼女の足にスイスイと付いて行くシギに、


「ココよ!」


バァンッ!


 ……と、立て付けの悪そうなドアに当たるのはどうかと思う……(苦笑)

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