素敵な魔王様の側近
F.ニコラス
その1:紹介します!
皆さん、初めまして!
私の名前はクィンテといいます!
年齢は17歳、身長は235cm、体重は秘密です。
特に可愛いところはピンク色のふわふわ髪!
この魔王城で働いている唯一の人間で、役職はなんと魔王様の側近です!
凄いでしょう!
さて、今日は皆さんに、私の日課と一緒に魔王城の様子を紹介したいと思います。
まずは……えーと、ここが私の部屋なんですけど。
あ、そうだこのベッド!
大きいでしょう!
私専用の、特注サイズです。
毎日ここで寝て、ここで起きます!
それで、起きたらまずは身だしなみを整えます。
歯磨きと洗顔をしたら、寝間着を脱いでお仕事用の服にチェンジ!
今日はもう着替えてますけどね。
可愛い私にぴったりの可愛い服です!
というわけで、そしたら部屋を出て魔王様を起こしに行きます。
でも実際に起こせたことはありません。
魔王様はとても早起きなので、私が行く頃にはお着替えまで済んでいます。
でもまあ、もしかしたら今日こそはってとこもあるので。
さあ行きましょう!
よいしょっと……魔王城はとても広いですが、時々天井が低いところもあります。
頭をぶつけて壊さないように、気を付けて通りますよ。
そして――わっと!
すみません、失礼します!
……今すれ違ったのは、洗濯係さんですね。
みんなの部屋を回って洗濯物を回収してくれます。
係の皆さんは専用の魔法が使えるので、どんな汚れもきれいに落としてくれるんですよ!
私が沼でこけて泥んこになった時も……あ、つきました!
ここは食堂です。
魔王様のお部屋に行く最中に、この食堂に寄ってお食事を受け取るんですよ。
おはようございまーす!
はい、これですね?
ありがとうございます!
……では魔王様のお部屋に向かいましょう。
ちなみにですが、魔王様は食が細いので朝ごはんの量もちょっぴりです。
これだけしか食べなくて、倒れちゃわないか心配です……。
私がお食事を作って差し上げようかなあ……。
よっ、と。
このぐるぐるしたタイプの階段、ちょっと上りにくくて苦手なんですよね。
でも魔王様のお部屋に行くには、絶対にこの階段を使う必要があります!
ですのでこうやって……んしょ、慎重に行きますよ。
ん?
はーい!
何ですかー!
え!?
すみません、もう1回……あ!
ごめんなさい!
気を付けます!
……今ですね、メイド長さんに声が大きいと叱られてしまいました……。
私は見ての通り体が大きくて可愛いんですが、声も普通の人より大きめみたいで……。
気を付けなきゃなあ……。
っと、見えてきましたね!
あの豪華な扉の奥が、魔王様のお部屋です!
ここに入れるのはごく限られた人だけなんですよ。
……ふふ、そうです、つまり私はその限られた人というわけです。
なんてったって、側近ですからね!
オンリーワンの役職です。
んんっ……では、参りましょう!
朝のご挨拶は元気よく。
魔王様、おはようございます!
お食事をお持ちしました!
……はい、失礼します!
さあ皆さんご覧ください!
こちらが私たちの魔王様です!
年齢は24歳、身長は185cm。
ご覧の通りの美しいスタイルです!
雪みたいに真っ白で、サラサラの長髪!
左右に加えて、左目の下にもう1個ある赤い目!
艶のある黒い翼!
威厳たっぷりな、裾の長い服とマント!
いつ見てもカッコいいですね!
早朝なのにもうビシッとした佇まいです!
隙がありません!
「……クィンテ。何だそれは」
あ、説明が遅れてすみません!
これはですね、市民の皆さんに魔王様と魔王城に親しみを持っていただくための映像を記録しているんです。
せっかくですから魔王様、何かひと言どうですか?
「いや……要らん。というか記録を止めろ」
えー、でもよく撮れてますよ?
この魔道具もちゃんと良いお店で買って来たやつで……。
「止めろ」
…………はあい……。
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