End In The Backrooms World

ちょこみんと

2010.5.13.15:46 frontroom

「なあ、バックルームって知ってるか?」


俺たちの地獄はそこから始まった。

バックルームって言ったら、外国の都市伝説だっけ。

確か化け物がいる黄色い部屋だっけな。


「なんか化け物がいっぱいいる黄色い部屋だよな。それがどうした」


透は無言で俺を見つめた。その手は静かに震えていた。これから死にに行くかのように。

透は俺の親友だ。こいつはビビりなんだが、このレベルでビビってたのは見たことないな。


「それのどこが怖いんだよ。ただの作り話だろ」


「それが怖いんだ」と、透は珍しく真剣な表情で言う。


「ただの都市伝説がか?なんでそんなもんに。珍しいじゃん。怖い物苦手なのに都市伝説なんかに興味持つなんて」


透は少し躊躇ってから話し始めた。


「俺の彼女がバックルームってやつに行ったらしいんだ」


俺は思わず、コーヒーカップを皿の上に落とした。


「バックルームって都市伝説だろ?」と、俺は聞いた。


「ああ」と透は答える。


「バックルームは外国の都市伝説だろ?」と、もう一度聞いた。


「ああ」と透は答える。


「なんで彼女が、バックルームなんかに行くんだよ?」


「それは分からない」と、透は答えた。


俺は少し考えてから言った。


「その彼女って、いつ頃行ったんだ?」


「半年前らしい」


俺はコーヒーを飲みながら考えた。


「その彼女って、どんな子だ?」


透は少し考えてから言った。


「普通の子だが…オカルトだか都市伝説だかに興味を持ってたな」


「その普通の子はバックルームに行ったんだな?」と、俺は言った。


「そうだ」

「バックルームなんて実際にあるわけないだろ!」


俺は少し興奮しながら言った。

しかし、透は冷静だった。


「でも本当なんだ。彼女は実際に行ったんだ。嘘じゃない!」


「まあしょうがねえな。信じてやるよ。で、俺にどうしろと?」


「俺と一緒にバックルームに来い」


「報酬は?」


「…報酬?」


「それ相応の報酬がねぇと行かねーに決まってるだろ。都市伝説だぞ」


透は考え込んだ後、言った。「分かった。報酬は俺が払う。だから一緒に来てくれ」


「冗談だよ。俺とお前は親友だろ?報酬なんて無くても、助け合おうぜ…」


透はホッとしたような顔をした。

「ありがとう」と、透は言った。


「で、どうやってバックルームまで行くんだよ?」


「実は、彼女から2ヶ月前に連絡が来たんだ。バックルームがどうのこうのって。俺は信じて4ヶ月の間バックルームについて調べたから、案内とか説明とかは任せてくれ。」


「バックルームはどうやって行くか聞いてんだよ」


「バックルームは現実世界から外れ落ちると辿り着くんだ。」


「外れ落ちるってなんだよ」


「Noclip状態になればいいらしい」


Noclipってなんだよ。俺は専門用語しか使わない透に半ば呆れたように告げた。


「そんな言い方されてもわからんぞ」


「まあ行き方はわかる、問題は二人で行って意味は無いだろう。すぐに死ぬのは自明だ」


「一緒に誰か道ずれにするつもりか?」


透は俺の言葉を聞かず、ただ何かを指折り数える。なにかブツブツ言いながら悩んでいた。こっちの言葉はまるで聞こえていないかのように。


「まあとりあえず俺ら含め10人くらいいた方がいいだろう」


「多くね?」


「大丈夫、既に3人くらい誘ってあるぜ」


「あと5人かよ。多くねえか」


透は何も言わず、俺の方を見つめた。俺は大きなため息をついた。


「はぁ…わあったよ。あと5人。連れてくりゃあいいんだろ?」


「流石。分かってるね」


「俺はついて行くだけだからな、案内とかは任せるぞ」


「もちろん、任しとけ」


俺は立ち上がり、少し伸びをした。

「じゃあ行くか?バックルームってやつへよ」

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