第16話 最近発見されたダンジョン

―side エドワード―




「今日からスタンピート鎮圧作戦にご一緒させていただきます。第一騎士団団長のザッカーバーグ=ベルンハルトです。お会いできて光栄です殿下」

「うん、よろしく」



 ザッカーバーグ=ベルンハルト。赤髪に緑色の目の若くて厳格そうな見た目のイケメンが俺に挨拶してきた。侯爵家当主にして言わずと知れた王国最強騎士。彼自身Aランクの冒険者であり、ハワード王国冒険者ギルドの相談役もしている。実力的にはSランク冒険者でもおかしくないが、まあ普通に自分自身の領地を治めていて、王国騎士もしていたら、そんな暇ないからな。むしろ、騎士してるのにAランク冒険者って体力化け物すぎてどう言うこと?といったところである。まさかたかがスタンピートを鎮圧するごときで彼が出てくことるなんて……どうやらセバスも父上もよっぽど俺に単独行動させたくないらしい。

 こりゃ、相当撒くの厳しいぞ。表ではポーカーフェイスを貫きながら、内心険しい表情でいるとザッカーバーグさんが俺の耳元でこそっと呟いた。



 ――こそっ

「そう固くならず、殿下が単独行動したいと言うことはわかってますから。正直、その実力があれば私の部下など足手纏いでしょう?見たらわかります」

「なっ……」



 なんていい人なんだ……。俺は今猛烈に感動している。ある一定程度強くなると相手の強さがわかる。それを見て相手が取るべき最善の行動を判断したのだ。堅物そうに見えて意外と柔軟である。王国にこんなできた人がいたなんて。感動である。大事なことすぎる。



 ――こそっ

「ありがとうございます。全員で一緒にいるときは俺もザッカーバーグさんから色々学びたいのでお手柔らかにご指導よろしくお願いしますね」

「……!大役、承りました」



 うんうん。俺もこれだけ強くて経験豊富で聡明でいい人からなら色々教わることも多いだろう。

 流石は華の役職、ハワード王国第一騎士団団長を長年やっているだけのことはある。確かこの人も若くして第一騎士団団長を任されたんだっけ?十分今も若いし、色々苦労しているのかも知れない。貸しもあるし何かあれば、相談に乗ってあげよっと。



「それじゃ、行こっか」

「はっ……!……っと、その前に言うべきことが」

「何?」

「実は……まだ極秘事項なのですが、我々は最近発見された魔物の森のダンジョンについても調査したいと考えています」

「さ、最近発見されたダンジョン……だと……?」

「ええ」



 うおおおお……!しかし、そんな話聞いたことないぞ?念の為確認してみる。



「最近発見されたダンジョンというのは最近発見されたダンジョンということだよな?」

「ええ……!そうなのですよ!最近発見されたダンジョンですので」

「「…………。おっほん!」」

「しっ……失礼いたしました」

「こっ……こちらこそ」

 


 お互いテンションが上がっているのか謎会話になってしまった。恥ずかしすぎる。

 ……っと、思ったけど向こうも赤面していたのでお互い様だ。



「おそらくですが、此度のスタンピートはそのダンジョンが生まれたことによると推測しています」

「なるほど。そういうことだったのか」



 それで、この人が呼ばれたのか。

 何せ、今回は未知のダンジョン攻略になるのかもしれない。半端な人に任せるわけにはいかないからな。

 ましてや、王子の護衛ともなると、そりゃこの人しかやれる人いないか。



「そういうことです。ですが、会って確信いたしました。殿下は自分の身は自分で守れると。ですので、私は部下が1人でも多く生き延びれるように今回は騎士団の監督に専念させていただきます」

「うん、俺もそれがいいと思う」



 下手に気を使って守られるより、そっちの方が余程合理的だ。

 それにしても、未知のダンジョンだぞ?ダンジョンレビュワーである俺の血が疼く。楽しみすぎる。もちろん、グランドギルドマスターに頼まれている道中の冒険者ギルドの食堂レビューも忘れないようにしたい。そんなこんなで、俺たちは未知のダンジョンがあるであろう魔の森へ行くことになった。


 


 ――――――――――――――――――――――――――――――――――

-1章完-

[コメ]

ここまで読んでいただき、ありがとうございます!若干区切りは悪いですが一旦章区切ります!楽しんでいただけたら、作者はとても嬉しいです!


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