第15話 魔物の森の状況
―side エドワード―
「ふんふんふーん」
「ご機嫌ですね、エドワード様」
「まあ、グランドギルドから初めての依頼と案件だからね」
「陛下も喜んで羅してましたもんね」
「それはどーでもいいけど」
「おっほん」
「わー嬉しい。嬉しいなー」
執事のセバスチャンが明らかにこちらをジト目で見てくる。
この前、逃げ出した以降とても不機嫌である。
ただでさえ、堅物メガネなのに態度までカッチンこっちんになってしまった。
「何か?」
「な、なんでもないよ」
こいつ、俺のことを見透かしすぎではないのか……?
ポーカーフェイスには自信があったんだけどな?
「ギルドからの依頼は、魔物の森でスタンピートが起きかかっているからなんとかして欲しいのと、冒険者ギルドを名店にするためのアドバイスと宣伝ですよね?」
「うん」
「魔物の森については事前に部下に情報を集めさせています。それから、助けを必要としている冒険者ギルド食堂のこちらに候補のリストを提示してあるので、もしよろしければどうぞ」
「ありがとう!」
流石はセバス。仕事が早い。
「ふむ。魔物の森の感じは想定内だな」
「スタンピートがあと2週間以内に発生するとされていますね。人的被害は出ていませんが、すでにオークキングやワイバーンといったSランクモンスターの目撃情報もあります。エドワード様が冒険者ギルドで依頼を受けていなかったら我が国に膨大な損害があったかも知れません。その点に関しても国の重鎮たちはみんな評価されていました」
「ふふん!だろだろ?」
「はあ……もう……全く。だからと言って無断で城を出ていっていい理由にはならないですからね?」
「無断では出て言ってないよ?ちゃんとセバスの前で堂々と出ていったし」
「おっほん」
「あーこわこわ。そんな怖い顔していたら子供はみんなセバスの前から逃げちゃうよ?俺みたいに」
「うるさいです。それより早く進めてください」
セバスが鬼のような形相で俺を睨んでくる。
これ以上は色々まずいか。セバスが爆発する。一旦落ち着こう。人が怒るスレスレのラインで遊ぶのは俺の悪い趣味だったりする。
それはそれとして、セバスが言うように早く冒険者ギルドからの案件にも目を通して決めないと。
人の被害は出ていないものの今この瞬間だって、魔物の森のスタンピートは大きくなっていっているはずだ。早くしないとね。
「うーん。この中だと……お!ちょうどいい依頼があるな!」
「ああ、魔物の森の依頼ですね。私もそれ選ぶと思っていました。今回のご依頼と案件を効率よく受けられるので効率がいいと思われます」
「だね!ギルド長にはこのカードを見せたらただで飯が食えるって言われているし、食費も浮いてラッキー♪」
「エドワード様。当然騎士団も同行しますし、護衛も沢山つけますし、我々もご一緒しますからね」
「うん」
これは仕方ないだろう。今回の魔物の森のスタンピートは王族として抑えに行くのだ。うちの国にもメンツがあるからね。ただの冒険者が自国の問題を解決してしまったら報酬やら地位名声やらをどうするかでとても面倒なことになるのだ。
まあ、それでもとりあえずみんなで魔物の森につけば王族が現地に行ったという体裁は整う。
そっからは現地で撒けばいいだけだし、どっちにしろスタンピートになったら俺も全力で戦えるし、特に悪いことはないはずだ。れっつらごー!
「そういえば、エドワード様。珍しく縁談ではないのですが、ロンバル王国のベッキー=シュタイン様から感謝状とお茶会のお誘いが来ております」
「あ、そう。行くよって返しといて」
「えっ……!?」
「えっ……?」
セバスは信じられないものを見るような目で俺を見る。
「あー。そういえば、この前レベッカと会った事は言ってなかったか」
キラーンとセバスの目が光る。まずい。
「そうですか。そうですか。わかりました。お茶会には行きますと返しておきます。それから、プレゼントをご用意いたしましょう」
「い、いや。レベッカとはそー言うのじゃないから!」
「はいはい。これはこれは。大変良いことを聞きました」
「ほんとだから。――ってもういない!?」
絶対わかってないだろー!セバスー!!
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