菜花

あれから一日が経ち


私たちはデパートに来ていた

「こんな服とかどうかな?菜花なのか」そう私は彼女に聞いてみる

菜花というのは私が彼女につけた名前だ

彼女は名前を言いたくないらしいので私が付けることになりふと思い浮かんだのがこれだった


菜花は俯きながら

「こんなっ...服..私には....似合わないです」と悲しそうに言ってくる

それを聞いて私は

「ほら着てみたら分かるよ」と言って菜花に服を持たせて更衣室へと入れる



そして数十秒が経ち

「ど..どう...です...か?や...やっぱり似合ってないですよね?」と言い菜花は更衣室のカーテンを開ける

私は菜花に見惚れてしまった

まてまて私はロ〇コンじゃないんだ!

理性で何とか押さえ込み

「凄く素敵だよ」と頭を優しくなでながら褒める

菜花は嬉しそうに「え...えへへ」と笑顔を見せるのだった


そして服を買い終えた私たちは買い物を終えレストランに来ていた

「わ、わぁ...こんなっところわ...わたし来たことないです!」と菜花は目をキラキラさせながら言う

店員に案内されて私たちはテーブル席へと座る

「好きなの頼んでいいよ」と言うと菜花は嬉しそうにメニュー表を見る

「え...えへへ迷っちゃいますね」とはにかんだ笑顔をこちらに向けてくる

「時間はあるからね、ゆっくり選ぶといいよ」と言い私もメニュー表を菜花と一緒に見る


数分後

「これとこっちどっちがいいんだろう....」

菜花は交互に二つの写真を見る

オムライスとハンバーグで悩んでいるようだ

「じゃあ私はハンバーグにするからオムライスにしようか」と言うと

「は..はい!」と嬉しそうに返事をする


「こちらご注文のオムライスとハンバーグになります」

店員はそう言い料理をテーブルに並べると厨房へと戻っていく


「さて、それじゃあ食べようか」

私は横にある引き出しからスプーンを取り出して菜花に手渡す

「い....いただき.....ます」

「うん。いただきます」

私はナイフでハンバーグを一口大のサイズに切り分けて口に入れる

いつ来ても変わらない味だ

菜花の方を見ると少し不器用にスプーンを持ちながらパクパクとオムライスをたべている

私が見ていることに気づくと

「ふぉいひいでふ!」とまだ口に食べ物が入っているのにこちらに話しかけてくる

私は小皿に先ほど一口大に切り分けたハンバーグをいくつか入れて菜花のほうに寄せる

「これもおいしいよ」と言って食べさせようとするが菜花はもじもじして食べようとしない

「どうかした?」と少し心配になり聞いてみると

「あぁ...いえ.....その.....」

「大丈夫。言ってごらん?」と言うと菜花は、ふぅと胃と行きついた後

「あ、あ~んしてください!」と店内に響くような声で言ってくる

「そ、そんなに大声で言わなくても大丈夫だよ」と店中の視線にさらされて少し気まずくなりながらも優しく言う

私は持っていたフォークでハンバーグを軽く突き刺し菜花にのほうへと向ける

「はい。あ~ん」と言うと少し恥ずかしそうにしながら目を閉じて口を開ける

ハンバーグを菜花の口に入れて食べさせる

「ちょ...ちょっと恥ずかしかったけどおいしいです///」と言われ私も少し恥ずかしくなってしまう



あの後ショッピングから帰った私たちはベッドを敷いて寝ようとしていた

「まだ起きてるかい?」と菜花に声をかけるが返事は返ってこない

私は菜花の頭を撫でベッドから出る


「少し...散歩でもしようかな」

外へ出ると心地の良い風が頬を撫でる

空を見上げるが悲しいことに星一つ見ることはできなかった

私はどこに向かうでもなく外を歩く

人とすれ違うことはなくたまに車が横を通るくらいだ

私は自販機で無糖の缶コーヒーを買い再度歩き出す

歩いているとある場所で立ち止まる

菜花を拾った場所だ

そこにはある一人の女性が立ち尽くしていた

なにかをうわ言のようにつぶやき死んだような目をしている

私は無視することができずに話しかける

「どうかされましたか?」

そうきくと女性は私に気づきあるものを手渡してくる

「これを.....」

渡されたものを見ると.....

彼女....菜花の写真と共に探していますと言う文字が書かれていた

「この子....どこかに行ったきり帰ってこなくて」と心配そうに言った後小さな声で

「私から逃げるなんて.....クソっ...あんな子なんて産まなきゃよかった....」とつぶやく声を私は聞き逃さなかった

私は目の前のこいつを殺してしまおうかと考えたが理性でなんとかそれを抑える

それでも私のはらわたは煮えくり返り今にでも手が出そうになっている

私はなんとか平静を装い「それは災難ですね....私もできる限りのことはしますので」と言ってその場から去り自宅へと向かうのだった

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