君の夢、僕の願い

@karikane_shio

第1話『詩と僕は』








18歳、高校3年生の時



雨街琴音『はじめまして、隣に越してきた雨街です。よろしくお願いしますね〜』


栞音優香『あら、わざわざ挨拶だなんて!ほら閑もごあいさつ!!』


栞音閑 『よろしくお願いします…』


雨街琴音『わざわざご丁寧にありがとう、こっちは娘の詩、仲良くしてね!』


雨街詩 『…………コクッ』









隣に引っ越してきた雨街詩、

起立性調整障害で不登校らしい。

近所なのでよく会うのだが、少し変わっている子だった。








雨街詩 『妖精さんがね、私をむかえにきたの!』


栞音閑 『またかよその話……帰る。』


雨街詩 『お兄ちゃん、またね〜!』








正直、詩のことが嫌いだった。

そんなある日、僕が彼女を深く傷つけた出来事が起きてしまう。








田中恵美『それでさ〜って、あれ…』


栞音閑 『どうした?』


田中恵美『何あの子、地面に寝っ転がって……』


栞音閑 『………あいつ、』


田中恵美『そこの君、何してんの?』


雨街詩 『将来のゆめ、書いてた!』


田中恵美『夢?………お嫁さんになる…』


雨街詩 『そう、可愛いドレスをきてお嫁さんになる!』


田中恵美『………ッwwww』


栞音閑 『……恵美?』


田中恵美『馬鹿じゃん、嫁くらい誰だってなれるってwwwww』


田中恵美『まぁ、こんなとこでわざわざ寝っ転がって将来の夢書いてるような奴、誰も拾ってくれないだろうけど!www』


栞音閑 『恵美、何言って……』


ビリッ!!!ビリビリッ!!


田中恵美『子供は家で勉強でもしてな、クソガキが。』







栞音閑 『ちょ、えっと……待てよ!』


雨街詩 『……………あのお姉さん、ちょっと機嫌悪いのかなッ…あはは〜!』


栞音閑 『……そうだな、お前も帰りな、風引くぞ。』


雨街詩 『……お兄ちゃん!』


雨街詩 『あのね、お兄ちゃんは、私の夢、応援してくれるよね…?』


栞音閑 『応援って……まぁうん…えっと』


雨街詩 『お兄ちゃんは私とおなじだもん!ね〜!』


栞音閑 『一緒……それはっ…』









『 『君と一緒なんかじゃない』 』





咄嗟に出た言葉がそれだった。









雨街詩 『………えっ、なん…で?』


栞音閑 『前々から思ってたんだけど、キモいんだよ、もう話しかけんな。』






 







それっきり、彼女と関わることはなかった。

あの時僕は、自分と人を比べる性格でした、

だから彼女を傷つけた。





____________________





時は流れ、4年後。








透水純 『君が副担任の、分からないことは何でも聞いて(ニコッ』


栞音閑 『よろしくお願いします!』




僕は教師になった。




ガラッ🚪



透水純 『今年も色んな生徒がいますね〜』


栞音閑 『僕、教師として上手くやれますかね……?』


透水純 『大丈夫、最初は皆そうだから、頑張ろう!』






キーンコーンカーンコーン🔔





透水純 『え〜、このクラスの担任を務める透水純です、3年間よろしくね。』


栞音閑 『副担任の栞音閑です、皆さんと同じく今年からこの学校なので、一緒に頑張りましょう!』



ガラッ!🚪

その時でした。



??? 『すみません、遅れました!!』



風でなびく、キレイな髪

キラキラと輝いた瞳

どこかで聞いたことのあるような声…



透水純 『えっと、雨街さんだよね?席そこだよ〜』


雨街詩 『ありがとうございます、すみません!』


栞音閑『(雨街詩……!)』






彼女は、高校生になった雨街詩、

そう、僕のクラスの生徒だったのです。

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