不思議で何か怖い・ホラー・ショート集

仙 岳美

第1話 別れのいし……

 私が小学高学年の頃だったと思う、ある日、通学路の道端に生えている柿の木の少し高い枝にぶら下がっている小さめのビニール袋を見つける。


 そのぶら下がった袋は、その透けるている色からして中に土が入ってる事がわかった。


 その頃の私は、何故かその袋の中に大好きなクワガタの幼虫が入っていると勝手に思い込み、目にしてから、一週間程経った頃、竹藪から適度な長さの竹を見繕い、その木の枝にかかったビニール袋を取る行動に出る。


 その袋は、輪っかに竹先が通ると、簡単に取る事はできた。


そして……

 結び目を解き、中を覗くと、予想通り土が詰められていた。

私は、その袋の両隅を持ち上げ、袋口を下にし、一気にその土をアスファルトに広げると中には……石が外れた指輪が入っていた。

その頃から、何か執念深い私は、諦めずに、その土の中を念入りに探ると、土とほぼ同系色な茶色い小さい石を見つける事ができた。

その石がはめこまれていたと思われる指輪の土台の面積と、その見つけた石の大きさを照らし合わせて見ると、ほぼ一致している事から、まず、その指輪の石はその石で間違いないと思えた、後でその石を猫目石だと知った。

そして……

 この経緯を、その石とその台座である指輪を見せながら人に語ると、その相手とは必ずつまらない事で仲違いしてしまい、少しして聞き手と仲違いする時期は、話しを聞かしてから一週間程で訪れる事に気づいた。

その期間は、偶然なのか必然なのかは、知り得ないが、私があの袋を見つけてから中を確認する迄の期間と同じ一週間……

それは、まさしく、不意に外れてしまい、何かしらの理由で再装着されずに、そのまた何かしらの理由で不可解な放置的な置き捨てされた、土台である指輪と石の訴えている呪いの様に私は思えた……でも、逆手に取れば、別れたい相手には、この石とその逸話は非常に都合がよい道具と成り、私は、現在もその石とその指輪を、はめずにバラバラに保存し所有している。

とても便利な石であります。[終]


題材・茶袋

 それは、突如として、いつもの利用している道などの木の枝などにかけられている茶色い袋。

その袋に触ると、病気なったり不幸になると伝わっている昔話し。

残念ながら、その袋をかけた相手の経緯は伝わってない。

また伝わってないからこその故に、不気味に怖がられ、長く言い伝えられている話しなのかも知らない。


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