宵待への救い

「...ち、...まち」


「ん、」


頭の中に霧がかかったようにはっきりしない。


しかし誰かの声が聞こえる。


「...まち、...よいまち!!!」


「なに!??」


周囲を見渡す。


学校だった。


そこに居たのは



佐野と神薙だった。



「佐野...?それに神薙も?」


「よっ」


「よっ」


二人がおどけたように挨拶してきても未だ俺は状況が飲み込めずに居た。


「どういうこと?」


「いや、宵待も死んだじゃん?」


「うん、」


「んで、死ぬ前になんて言ったか覚えてる?」


「えっと,,,」


神薙が嬉々として言う。


「こう言ってたよ? 『待ってろよ、復讐したら俺もそっちに行かせてくれよな。』」


「あ、うん言ったね。」


「その願いが叶ったんだよ!」


「ていうか俺の声聞こえてたの?」


「うん、宵待くんが斗真くんのこと好きだってことも聞こえてたよ。」


「邪魔しないから!ていうかお前ら二人見てると俺まで幸せになんだよ、満足だわ!」


「宵待、ありがとな。」


「ん?」


「俺のこと好いてくれて、俺達のためにいっぱい動いてくれて。」


「照れくさいからやめてくれw」


「宵待が俺達と最期に喋った時なんて言ったか覚えてる?」


「『またな』だろ?」


「会えたね、宵待くん。」


「な、宵待。俺達は待ってたんだぜ?」


「佐野っ、神薙...」


「宵待くん、一回だけ斗真くんに抱きついて泣くことを許します。」


そう言いながら神薙は俺の背中をどんと押した。


その好意に甘えて佐野に抱きつく。


佐野は背中を優しくぽんぽんと叩いてくれた。


「うっ、うああああっ、だって俺、いきなり二人がいなくなると思わなぐでっ...いつかまたわらってるふだりが見だくっで、ひっ、」


「ゴメンな宵待、」


「ううん、仕方ないことだと思ってるよ、」


「宵待、おかえり。」


俺はひときわ大きい泣き声をあげた。


ーーーーーーーーーーー


「昨夜、2ヶ月もの間行方不明となっていた宵待のぞみさんが遺体で発見されました。損傷はなく、警察は自殺と見て捜査を進めるとともに生徒に対する脅迫罪で先月逮捕された教師との関連も捜査する方針と発表しました。」

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