異界の弾丸（プロローグのみ）

第1話 プロローグ

　暗闇が広がる空の下、鋭い風が冷たく吹き抜ける。漆黒の夜空には無数の星々が淡い光を落とし、その光が空を貫通しながら無限の広がりを感じさせていた。都市の遠くにちらつく光は、どこか異次元の世界を示すかのように幻想的で、ジム・アンダーソンの目に深い印象を与えた。

「一体、どうなってるんだ？」ジムの声は震え、呟きがその奇妙な状況への戸惑いを物語っていた。彼は現代の戦場で数え切れないほどの戦闘を経験してきたガンマニアであり、銃火器に対する情熱は並外れていた。しかし、目の前に広がる異世界の光景は、彼の戦闘経験を超越していた。心臓が激しく高鳴り、周囲の音はまるで水中でのようにぼんやりと耳に届いていた。目の前に広がるのは、全く未知の地平線であり、異世界の風景が広がっていた。

　ジムの手には、彼の愛用する銃がしっかりと握られていた。その銃は単なる武器以上のものであり、彼の戦友であり、情熱の象徴だった。しかし、その銃も異世界の光景に溶け込んでしまっているかのようで、ジムはその感覚に呆然と立ち尽くしていた。彼の体は光の渦に包まれ、周囲の空間が歪んでいく様子が、まるで現実と異世界の境界が崩れる瞬間を映し出していた。

　視界が暗く沈み込み、再び明るさが戻ると、そこには近未来的な都市と中世の城壁が奇妙に融合した風景が広がっていた。巨大な浮遊するクリスタルが空を照らし、街並みには煙と火花が交錯していた。機械の歯車が不規則に軋む音や、魔法のエネルギーが炸裂する音が入り混じり、ジムの耳に響き渡っていた。その音は、彼の心に戦闘の興奮と期待を呼び起こしていた。

　ジムは銃を確認しながら、ここで生き延びるためにはこの異世界のルールを把握する必要があると直感した。彼は一歩一歩、周囲の風景を注意深く観察しながら歩き始めた。異世界の技術者たちが操る奇妙な機械や、魔法を駆使する兵士たちの姿が目に入るたびに、彼の心は戦闘の興奮で高鳴り続けた。新たな戦場の魅力に引き込まれながらも、その未知の要素に対する好奇心が彼を駆り立てていた。

　突然、鋭い叫び声が耳に届いた。街の中心から立ち上る黒煙が視界を遮り、その先に恐ろしい魔物たちの姿が浮かび上がっていた。魔物たちは人々を襲い、街全体に混乱と恐怖を撒き散らしていた。ジムの目は興奮と期待で輝き、銃をしっかりと構える手には力がこもった。彼の心は戦闘の高揚感に溢れ、無限の可能性を感じながら新たな挑戦を迎えていた。

「これが、新しい戦場か…」ジムは銃を握りしめ、目の前に広がる戦いの景色に心を躍らせた。この異世界の混沌とした風景の中で、彼の闘志がどこまで燃え上がるのか、それがこれからの物語を紡いでいくのだった。