とある理由でVTuberになったら父の死の深い闇を知ることになった件について

とんとん

父の死

第1話 父の死

父が死んだ。


そう知ったときは多分一生分泣いた。


俺、大橋大河(おおはしたいが)にとって父は、いつも心の支えになってくれた大切な人だった。


困ったとき、挫けそうになったとき、いつも相談に乗ってくれた。




父の死因は交通事故らしい。


後ろから車に突っ込まれて跳ねられ即死。



そんな事実を未だ納得することはできない。


納得できなくて、どうしてもできなくて。


母によく当たり散らかすようになった。


そんな、母に危害を加えるような自分が嫌だった。



俺は大学に通ってる。父に勉強を手伝って貰いつつむちゃくちゃ努力して合格した。


合格した時はとても嬉しかった。


その日は家族でちょっと高いコース料理を食べに行った。



そのことを思い出すと、今は涙が出そうになる。


少し心を整理したい、そんな理由で俺は一人で住んでいる家に引きこもるようになった。



__________



ある日のこと。


俺はまだ引きこもり。


そんな中、家の食料が尽きたので仕方なく買い物に行くことにした。


お金は今は母から貰っている。


なんかみっともないが、少し前までやってたバイトを辞めてしまったので今は収入がない。


俺はコンビニまでの道を一人歩いた。


「なにやってんだろ、俺」


俺は今の自分が嫌だ。だいぶ心の整理はついてきた。


しかし、今の自分の生活に苛々している。


母からお金を借り、引きこもりで生活していて、大学はまともに行かない。


そんな生活を改善したいと思っていた。


「いらっしゃいませ」


コンビニに入った俺は、カップラーメンや冷凍食品など日持ちするものをたくさん買った。


コンビニを出ていつも通り帰ろうとしたとき、店の出入り口に1枚のポスターがあることに気づいた。


「…ん?」


そこには『VTuber大募集中』の文字が。


「…VTuberかー。」


少し応募してみようかなと思った。


なぜかと言うと最近、「人とまた繋がりたい」「自分で稼ぎたい」と思っていたから。


それに人を楽しませようと頑張ってる姿は、きっと天国の父や母も応援してくれることだろう。


そして俺はその場で、応募してしまった。


勝手に手が動いていた。


「…これでよし、と」


やっと自分で動こうとした。


その事実に何故か感動した。



その日は謎の感覚に覆われて帰った。


帰ると母にVTuberに応募したと連絡した。


少し戸惑った感じもしたが、最終的に「頑張って」と応援してくれた。


その日の夕ご飯はいつもの何十倍も美味しく感じた。


そして眠りにつく。


久しぶりにぐっすり寝れた。



___俺はこのことをきっかけに、深い闇に包まれた事実を知ることになる。

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