「もし」の世界
高崎ナル
プロローグ どんなに暗くても星は輝く
「それは、そいつは、生きていては、生き永えては、いけないんだ!!!」
眼前にはすらりと血の味を浴びた剣先が今か今かとその時を待ちながら。
僅かに、絶えず耐えず震えながら、俺を脅している。
傍ら、ズボンの裾が弱々しく、それでいて強烈に強く引っ張られる。
「どいてくれ…」
今にも倒れそうなのに、振り絞るように眼前に剣を突き立てている彼のの悲痛な表情と様子に、不理解がそのまま襲う自分の状況にかき混ぜられようとも、
俺、金草廻は"主人公"である為に、譲り難く、至極当然な結論をはっきりと告げた。
「退かない。俺は、この子を守る。」
「そうか。」
それだけ聞こえて、目の前で震えていた剣が一瞬、動きを止め、消える。
瞬間、視界がくるくると廻る。
前が見えて、左が見えて、右が見えて、下が見えて、後ろが見える。
ズボンに縋っていた少女が目を見開いて、苦痛の表情を帯びる。
くるくる、くるくる、くるくる、ゆっくり、速く、回って、周って、廻って。
また、ここに辿り着く。
「「それは、そいつは、生きていては、生き永えては、いけないんだ!!!」」
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