三度目のお仕置き
◆◇◆
────数刻前。
セシフェリアに勝利することはできなかったが、足止めには成功したレイラ。
足止めに成功して教会に入って少ししてから、路地裏でアレクとセレスティーネが一緒に居るという情報が入ってきたため、すぐにその路地裏へ向かった……が。
レイラが到着した頃には、もうアレクとセレスティーネの姿はなく、それからレイラはずっと街を走り回っているがアレクの姿は見つからない。
「アレク様、一体どちらへ……!」
その後もしばらく走り回っていると────
「聖女様」
教会の信徒。
もっと言えば、アレクを逃すときに他の信徒たちの指揮を任せた、教会の幹部とも言える女性が姿を見せて声をかけてきた。
この女性は、聖女であるレイラにとても恩義を感じており、日々忠義の限りを尽くしてくれている。
「どうかしましたか?」
「はい、先ほど街を駆けていたら、このようなものが……」
そう言いながら、女性は一枚の紙を差し出してきたため、レイラはその紙に目を通す。
「っ……!これは……」
そこには────
『奴隷所有権争奪戦!! クレア・セシフェリア公爵によって、奴隷ルークが引き渡されたことで終幕!!』
という大きな見出しの下に、今回の奴隷所有権争奪戦で予想以上に街中が騒ぎになったことなどが供述されていた。
「そうですか、セシフェリアさんが……」
「申し訳ありません、聖女様……彼のお方をお守りするという役目を与えてくださったのに、私は……」
「セレスティーネさんまでルーク様を求めていることを計算に入れられていなかったので、あなたのせいではありません」
それよりも。
「もしルーク様がセシフェリアさんに捕まってしまったのであれば、今頃……急いで街の聞き込み……いえ」
────セシフェリアさんの性格を考えるなら。
「教会勢力の全てを使い、急いで街にある宿の受付を当たり、ルーク様とセシフェリアさんのことを捜索してください」
「わかりました、そのようにさせていただきます」
そう言うと、女性は走ってこの場から去って行った。
同じく、レイラも走り出すと、アレクに思いを馳せる。
「……私の命を救ってくださり、今なお私に光を与えてくださっているお方」
────その方こそが、アレク様……アレク・サンドロテイム様。
「もし、あのお方の身に、何か危険が降りかかるようなことになってしまえば、私は……」
────アレク様……今度は、私がアレク様のことをお助け致します。
◆◇◆
────数刻前。
セシフェリアのことを足止めしていたセレスティーネだったが、途中でセシフェリアのことを逃してしまった。
それからずっと街を駆けてルークを探しているが、その姿は見つからない。
ルークがどこに居るのか、どこに行ったのかを頭の中でできる限り予測しながらも、その行動を絞り込めずに居ると……
「公爵様!」
セレスティーネの指揮下にある、奴隷制度撤廃を願う同志の一人が姿を見せた。
「どうかなされましたか?」
「この紙を見てください!」
そう言って、セレスティーネに差し出された紙には────
『奴隷所有権争奪戦!! クレア・セシフェリア公爵によって、奴隷ルークが引き渡されたことで終幕!!』
という大きな見出しの下に、今回の奴隷所有権争奪戦で予想以上に街中が騒ぎになったことなどが供述されている。
「……流石クレア様、といったところでしょうか」
────私やその同志の方々、そしてステレイラ様や教会の方々までをも出し抜いてルーク様のことを手になされるとは……
しかし。
────目の前でクレア様から逃げるという選択をなされたルーク様が、クレア様に捕まってしまったということは……
今のセシフェリアの心理状態を考えたセレスティーネは、口を開いて言った。
「私たちや教会の方々がこれほど捜索しているというのに、最後の最後までお二人のことを見つけられなかったのは不可解です……おそらく何かを被り身を隠していると思いますので、身を隠している二人組に関する情報を街中から集めるよう皆さんにお伝えください」
「はい!」
そう言うと、同志は走ってこの場から去って行く。
同じくセレスティーネも走り出すと、ルークに思いを馳せた。
「私のことを強引な婚約から助けてくださり、私が心から身を重ねたいと思える唯一の男性……」
────そして、奴隷でありながらその瞳には強き志を宿し、奴隷制度撤廃という私の理想の実現に希望を見出してくださり。
さらには、奴隷しか参加できないという都合上、セレスティーネには手出しできなかった地下闘技場トーナメント戦で優勝し、奴隷となってしまったサンドロテイム王国の民を助けてくれた。
────無論、私のためというだけでなく、そこにはルーク様の意図もあったのでしょうが……それでも。
「私を助け、絶望に挫けそうになった時に支えてくださったあなたを、今度は、私が────」
◆◇◆
「はぁ……っ、はぁっ……っ」
動かし続けられるセシフェリアの指に、僕は情けなくも息遣いを荒くして声を漏らしてしまっていた。
────いつまで、いつまで、こんな時間が続くんだ……!
永劫にも思える屈辱的な時間に、僕が精神的苦痛を抱いているも、セシフェリアはそんなことを全く気にも留めずに、頬を赤く染めながら。
「はぁ、本当に可愛い……何が可愛いって、私がちょっと指動かしただけで反応してくれるのが可愛いんだよね……それって、本当に今ルークくんは私の手、つまり私のことしか頭に無いってことだもんね?ここは?気持ち良い?」
「ぁ……ぁっ」
「気持ち良いんだ〜」
嬉しそうに言うセシフェリア。
こんな……こんな、ことが……!!
敵国の女性の手でこんな風に弄ばれて、快感を感じてしまうなんて……
サンドロテイム王国の王子である僕が、こんな……こんな、こと……
絶対に、あってはいけない……!
……のに、まずい……そろそろ────
「ルークくん、もしかしてそろそろ出ちゃいそう?」
「っ……!」
「やっぱり!そうなんだ〜」
違う!
そんなわけがないんだ!
僕が敵国の女性の手でそんなものを感じてしまうなんて、そんなわけが……!
「っ……ぁ、は……ぁっ」
そんな僕の気持ちとは裏腹に、セシフェリアが少し指を動かすたびに僕は声を漏らしてしまう。
それと同時に、何かが込み上げてくるのを感じる。
あと少しで、その何かが何かに達しそうになった────その時。
「っ!?」
セシフェリアは、突然僕の僕から手を離した。
「セ……セシフェリア、さん?」
僕がその突然の行動に驚いていると、セシフェリアは僕の顔を見ながら言った。
「切なそうな顔してるね、ルークくん……でも、これはもう二度とルークくんが私以外の女の元に行こうなんて考えないようにするためのお仕置きなんだから、このままルークくんのこと気持ち良くしてあげてもお仕置きにならないでしょ?」
「っ……だったら、これから、どうするんですか?」
「ずっと、こうして可愛いルークくんのこと見てるだけでも良いんだけど……さっき、ルークくんが私の言った通りにしてくれるなら、気持ち良くしてあげるって言ったこと覚えてる?」
「それは……はい」
だから、と続けて。
「ルークくんが、私にセシフェリアさんの手で僕のことを気持ち良くしてくださいってお願いして、もう二度と他の女のところになんて行かないって約束の言葉を口にできたら、気持ち良くしてあげるね」
「っ!?そ、そんな恥ずかしいこと、言えるわけ────」
「言えなかったら、ずっとこのままだよ……ルークくん、気持ち良くなりたいんだったら、ちゃんと私に気持ち良くなりたいってお願いして、もう二度と他の女のところになんて行かないって誓って?」
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